サイクルツーリズムで訪日客 自然豊かな地方ほど商機
(日経電子版 2019年7月16日)
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46415730R20C19A6H91A01?channel=DF220420167277

長野県や観光事業者などが協議会を設立し、22年度までに県内を周遊する700kmのサイクリングコースを整備し、道の駅には自転車置き場や自転車利用者の休憩スペースも設置する計画だという。
専用観光サイトで、サイクリングコースやトイレ、周辺観光施設などを紹介。空気入れや工具などを備えたサイクルステーションや自転車利用者が利用しやすい飲食店などを情報提供する。
サイクリングの聖地といえば「瀬戸内しまなみ海道」が人気だが、岐阜県飛騨市古川町の「里山サイクリング」はガイドツアーとしての草分けだが、自然豊かな地方ほど商機があることを感じさせてくれた。
日本の自然を楽しむツアーの発展を願いたい。

【ポイント】
長野県や県内の観光事業者などは自転車を使った観光振興策に乗り出す。協議会を6月18日に設立した。
北アルプス周辺や諏訪湖など豊かな自然を巡るサイクリングは訪日外国人客らに人気だ。

協議会は「ジャパンアルプスサイクリングプロジェクト」で、代表は2000年のシドニー五輪でマウンテンバイク日本代表だった一般社団法人ライド長野(長野県松本市)の鈴木雷太代表理事が務め、事務局はライド長野に置く。
協議会には軽井沢観光協会や白馬村、近畿日本ツーリスト関東松本支店なども参加する。
19年度の事業費は609万円を見込み、長野県が全額を負担する。

10月をめどに専用観光サイトを立ち上げる方針だ。
サイクリングコースやトイレ、周辺光施設などを紹介。空気入れや工具などを備えたサイクルステーションや自転車利用者が利用しやすい飲食店などを情報提供する。
観光関連イベントの開催支援や、サイクリングコース整備への助言なども行っていく。
将来は自転車を活用したツアー商品の開発・販売支援なども手掛ける考えだ。自転車関連の団体や事業者のつながりを強化することで、広域的な情報発信やイベント開催につなげる。

長野県は3月、自転車の観光への活用や安全な自転車利用のための「自転車活用推進計画」を策定した。
22年度までに県内全域を周遊する700キロメートルのサイクリングコース「ジャパンアルプスサイクリングロード」を整備するとともに、県が管理する道の駅には自転車置き場や自転車利用者の休憩スペースも設置する計画だ。
観光のほか、健康や環境保全関連の政策に自転車の活用を取り入れる県内自治体は18年度に32市町村だったが、県は22年度に全77市町村に広げていく考えだ。

サイクルツーリズムで訪日客を開拓する動きで象徴的な存在が広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約70キロメートルの「瀬戸内しまなみ海道サイクリングロード」だ。
瀬戸内海に浮かぶ島々を結び、米CNNの「世界で最も美しいサイクリング道」の一つに選ばれたこともあり17年度の貸自転車は15万台と05年の約5倍に増えた。
訪日客に人気があり、尾道市では08年に2万5千人だった外国人観光客が17年は28万6千人に増加した。
18年度は西日本豪雨の影響も受けたが、秋に開いた国際サイクリング大会には5万人強が参加。9億円の経済効果があったという。

サイクルツーリズムは自然豊かな地方部ほど商機が見込める。
北海道は18年4月に自転車の安全な利用と普及を目指す「北海道自転車条例」を施行した。
サイクルツーリズムを観光の目玉として定着させるほか、レンタサイクル業者などによる損害賠償責任保険への加入も明記した。