ドラッグストアで財布の紐を締めない訪日外国人たち、家電との違いは何だ!?
(ニュースイッチ 2019年08月09日)
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ドラッグストアの販売額が上昇を続けている。
食品が最も大きく、ビューティーケア(化粧品・小物)、家庭用品、一般用医薬品と続くという。
「爆買い」が起こった理由は、訪日客にとって為替レートが有利に働き、家電を含むあらゆる商品が買われたが、為替レートが不利になると、家電は買われなくなったが、医薬品・化粧品は、購入額を減らすものの、購入者数が増えたので上昇基調は変わらなかったという。
中国人の90%、香港人の75%がドラッグストアで買物をするといい、中国語を話す店員を雇用し、POP、免税カウンター、決済サービスが多いことが頷ける。

【ポイント】
ドラッグストアの販売額が上昇を続けている。商品別の寄与度が最も大きいのは食品である。

ドラッグストアの中でも、食品の品揃えが豊富な郊外の大型店舗はスーパーと、オフィスワーカーなどの需要で弁当やホットスナックも取り扱う都市部の小型店舗はコンビニと競合する。
経済産業省の商業動態統計調査が「ドラッグストア」として調査集計を開始した2014年以来、販売額が4年連続して前年比プラスが続いており、最も勢いのある業態だ。

食品に次ぐのはビューティーケア(化粧品・小物)、家庭用品、OTC医薬品(一般用医薬品)は4番目だ。医薬品・化粧品小売業の販売額を見ると、販売額前年比が上昇した要因は、医薬品・化粧品の販売量が確実に増えたことにある。

近年、ドラッグストアで訪日外国人観光客向けのサービスとして、中国語など外国語で書かれた広告や、免税カウンター、各種決済サービスを利用できるレジや、外国語で応対する店員を目にすることが多い。
訪日外国人消費額が最も大きな国は中国(含む香港)が約34%を占めるが、訪日中国人のうち約90%、訪日香港人のうち約75%がドラッグストアで買物をするようだ。

訪日外国人による医薬品・化粧品等(トイレタリー、健康グッズ、香水も含む)の買物額の推移は右肩上がりで上昇している。訪日外国人消費全体が低下した2016年後半に、医薬品・化粧品等の買物額も低下したが、2017年には再び上昇し、2018年は通年で6,413億円だった。

訪日外国人が医薬品・化粧品等をドラッグストアで購入するデータが存在しないため、その割合を100%、50%、25%として試算した。
化粧品には百貨店でしか販売していない商品もあり、全てをドラッグストアで購入するとは考えにくいが、仮に50%をドラッグストアで購入したとしても、そのインパクトは10%と大きな影響を持つ。

訪日外国人の家電等の買物額は、為替レートが円に対して強い時期に増え、医薬品・化粧品等も、為替レートが有利になった2015年頃に買物額が急上昇した。その後、為替レートが不利になった2016年あたりから家電は減少したが、医薬品・化粧品は、購入者単価はややマイナスになっているものの、購入者数が増加を続け、購入額前年比も小幅なマイナスにとどまっている。
家電などは為替が不利だと一人当りの購入額が小さくなるだけでなく、購入自体を取りやめる人が多いが、医薬品・化粧品では、財布の紐を引き締める要因にはなるものの、購入を取りやめるまでには至らないようである。
為替レートのもたらす「お得感」が購買意欲に影響することには変わりないが、商品単価が小さい医薬品・化粧品等ではその影響は小さく、訪日外国人は安定的な顧客となりつつある。