ブッキング・ドットコムCEOが語った戦略とは? 最も重視するのは「決済」、旅行版の定額(サブスク)サービスに関心
(トラベルボイス 2020年12月8日)
https://www.travelvoice.jp/20201208-147648

【ポイント】
現在、ブッキング・ドットコムの利用者は、Googleなどを経由せず、直接訪れる利用者が50%だという。
利用者のうち、「民泊」の新規予約の割合は3割から4割といい、「以前は民泊に関心のなかった人の予約が増えている」そうだ。コロナ禍のなか、より安全な郊外の宿を求めており、今後は、ホテルと民泊を比較して選ぶようになるという。

【 内 容 】
オンラインで開催された「フォーカスライト・カンファレンス2020」にブッキング・ドットコムCEOのグレン・フォーゲル氏が登場し、同社が進めている「コネクテッド・トリップ」やサブスクリプション・モデルの可能性について語った。
ブッキング・ドットコムは2019年に、宿泊施設予約だけでなく、さまざまなな旅行商材を組み合わせて旅行者にワンストップで提供する「コネクテッド・トリップ」を新しい戦略として掲げた。今年に入り、パンデミックが深刻さを増すなか、一旦はその戦略を中座し、中核ビジネスである宿泊予約に集中すると発表したものの、アメリカで航空券の検索予約機能の提供を始めるなど、舵を戻している。

フォーゲル氏は、カンファレンスのインタビューのなかで、進捗状況について「順調に進んでいる」と話し、アクティビティやテーマパーク、地上交通を加えるなど、取り扱う商材の幅も広げていることを明かした。そのなかで、最も重視しているサービスのひとつとして決済を挙げ、「決済は、すべての商材をつなぐうえで重要なもの」と位置づけた。
一方、コネクテッド・トリップの利用状況については、「2020年は、全体の需要が激減しているため、具体的な成果を示すことはまだできない」と話すにとどめ、今後についても「この仕組みは、一朝一夕にできるものではなく、完成させるためには、ある程度時間がかかるものだ」と話し、中長期的な視点でビジネス展開していく考えを示した。

旅行版サブスクに関心、グーグル介さず直接訪問の割合増へ
また、今回のカンファレンスでは、トリップアドバイザーCEOのスティーブ・カウファー氏が触れたように、サブスクリプションが議論のテーマになってるが、この点についてフォーゲル氏は「その有効性はサービスやプロダクトによって変わってくるだろうが、テストをする価値はあると思う。私自身もアマゾンプライムの愛用者で、とてもいいサービスだと思っている」と話し、関心を示した。ブッキング・ドットコムは現在、予約頻度の高い利用者向けに「Booking Genius」を設け、割引特典などを提供している。
フォーゲル氏はパンデミックの中で予約が伸びているオルタナティブ・アコモデーション(民泊)についても言及。新規予約に占めるその割合は、今年第2四半期40%、第3四半期で33%に達したことを明かしたうえで、「以前はオルタナティブ・アコモデーションに関心のなかった人たちの予約が増えている。パンデミックのなかで、より安全な郊外での宿泊需要が高まっているのだろう。コロナ後は、ホテルと比較しながら、どちらを選ぶか決める人が増えるだろう」と話した。

このほか、デジタルマーケティングについても触れ、顧客獲得や収益性の観点から、グーグルの有効性を認める一方で、「私自身、オンラインショッピングで、最初は欲しい物をグーグルで検索していたが、今は最初からアマゾンを訪れる。しかし、直接訪れてもらって、その顧客をつなぎとめるのは簡単なことではない。そのためには、常に高い価値を提供し、競合他社との差別化を図っていかなければならない」とコメント。現在、ブッキング・ドットコムを直接訪れる利用者は全体の50%ほどであることを明かしたうえで、「この割合をできるだけ増やしていきたい」と意欲を示した。