12県で20年宿泊需要減の試算 訪日客増超す負の要因
(朝日新聞デジタル 2019年2月21日)
https://www.asahi.com/articles/ASM2M3TFXM2MPLFA001.html

訪日客をあてこんだ宿泊施設の建設が進んでいるが、大都市圏から遠い12県の岩手、宮城、秋田、山形、福島、栃木、群馬、新潟、福井、島根、山口、高知は、2020年の宿泊需要が17年の実績を下回るという。
全国のホテルは30年に向けて客室の増加が続くが、開業予定の客室を加えると、稼働率は20年時点で70%を割り込む見通しだともいう。
京都は必要数の3千室を上回る、1万1千室のホテル開業が予定されており、供給過剰の懸念があるという。

【ポイント】
ニッセイ基礎研究所は、大都市圏から遠い12県では2020年の宿泊需要が17年の実績を下回ると試算した。宿泊者の8割以上を占める国内客の減少幅が大きいため、地域の実情に応じて「稼働率の低い旅館など、既存施設の活性化に力を入れた方がいい」と警鐘を鳴らしている。

需要減を見込むのは、岩手、宮城、秋田、山形、福島、栃木、群馬、新潟、福井、島根、山口、高知の12県。「20年に訪日客4千万人」の政府目標が達成されても、宿泊は大都市に偏り、この12県では人口減や高齢化による国内客の減少の影響がより大きい。
減少幅は福島の1・4%が最も大きく、島根の1・3%、福井の1・1%と続く。

30年に政府目標の6千万人が達成された場合でも、さらに青森、茨城、埼玉、三重、鳥取、徳島、愛媛、宮崎の8県が加わって計20県で需要が減るという。

民泊を除く宿泊施設(ホテル、旅館、簡易宿所)の客室の販売数や稼働率の試算によると、全国のホテルは30年に向けて客室の販売数の増加が続くが、旅館は20年以降に頭打ち、簡易宿所は20年以降は横ばいで推移するとみる。
また、開業予定の客室増を加えると、ホテルの稼働率は20年時点で70%を割り込む見通し。
京都は、20年までに必要とみられる3千室を上回る1万1千室のホテルの開業が予定されており、「供給過剰の懸念がある」としている。