中部北陸の広域DMOが観光DXに本腰、ナビタイムと連携し、データ活用で旅程自動作成ツール開発へ、予約・決済も
(トラベルボイス 2022年4月20日)
https://www.travelvoice.jp/20220420-151064

【ホッシーのつぶやき】
ナビタイムと広域連携DMO中央日本総合観光振興機構は、旅行者が行きたい観光スポットの旅程を自動作成し、予約・決済まで入れたプラットフォーム事業の協定を締結した。
この発想は、我がNPOの発足のキッカケとなった10年前に「大阪MYまち遊び」として構築したものと同じだ。乗換案内のジョルダンのシステムを使い「ココとココに行きたい」と入力すれば、最短の時刻ダイヤが検索できるものだ。
残念ながら、システム稼働から半年後にJRの関連会社から高額な使用料を請求されて頓挫した。当時は、まだ時刻ダイヤを自社財産として有料化する発想があり、実現しなかったものだ。
スルッとKANSAIでは観光スポットの割引も始めていたので、このシステムが稼働していれば、10年前に観光スポットとの連携も実現できていたと思う。
ナビタイムがこのシステムを成功させて、全国展開されることに期待したい。

【 内 容 】
ナビタイムジャパンと中部北陸9県の広域連携DMOである中央日本総合観光振興機構は、観光地域づくりに向けた連携事業の実施に関する協定を締結した。観光関連データを活用した地域活性化を図るとともに、観光による社会課題解決の手法を全国に波及させることで、管轄エリアを起点とした全国レベルの広域周遊観光の創出を目指していく。

これに向け、(1)各種データを格納・管理し、観光施策の立案等に活用しやすくするデータ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)の構築と、(2)旅行者の行きたい観光スポットにあわせた旅程を自動で作成して提案し、タビナカの予約・決済までシームレスに提供するウェブサイト「ジャパントラベルナビゲーター」の開発・運用の2つの事業を展開する。
DMPと同サイトは相互連携させ、旅行者の予約や動態データはDMPに蓄積して分析し、魅力的なコンテンツ造成や最適な旅行の提案・販売につなげる。

発表の記者会見で中央日本総合観光振興機構代表理事・会長の水野明久氏(中部経済連合会会長)は、「地域振興に資する観光地経営と高付加価値な観光コンテンツの充実には、デジタル技術を用いた戦略的な取り組みが欠かせない」と、両者の連携協定の重要性を強調。「交通経路探索サービスを核とするナビタイムの技術力と知見、熱意のおかげでサービスの初期モデルを完成することができた」と述べ、長期的な視点で観光DXを進め、地域の観光地経営に還元する取り組みを推進していく意欲を示した。

特に、(2)のサービスは、「コンテンツ・パッケージ・プラットフォーム(CPP)」と名付けた新しい仕組みの開発・構築で実現するもの。プラットフォームにエリア内の観光事業者によるコンテンツや観光情報を入れ込み、サイト上で旅行者が興味を持った観光地を選ぶと、それぞれを最適につなぐルートを提案し、観光の予約・決済機能まで提供する。
2022年7月に予定するサービス開始時は車での移動とタビナカ予約・決済への対応だが、今後は移動手段はバスや列車などの公共交通機関や自転車などにも拡充。宿泊施設予約などへの連携も視野に入れる。水野氏は「ナビタイムのシステムを活用してエリア内に点在するコンテンツを結んでいく。旅行者がこのサービスを活用することで、それぞれの関心を満足できる形で提案できることが一番のメリット」と期待を示した。
ナビタイムジャパン代表取締役社長の大西啓介氏は、ルート提案と情報発信サービスの事例として、北海道開発局と実施した訪日外国人向けのレンタカー移動観光のナビアプリ「Drive Hokkaido!」での成果を紹介。アプリの利用者の約7割がアプリで紹介したルートをめぐり、各観光スポットのクーポンを利用したことを説明し、「利用者にはエリア内の観光手段を利用したルートでいろんな観光地を楽しんでいただき、各観光地はそれぞれの魅力をアピールして利用者の満足度を上げていただく。そして旅行者が立ち寄ることで、地域経済を活性化できる。そのような循環ができればいいと思う」と、同社の技術が地域の観光活性に寄与する自信を示した。

両者は今回の連携協定の締結する以前から協働し、すでにDMPでは2021年7月から、ナビタイムのGPSデータをもとに訪日外国人旅行者の動態分析が可能なダッシュボードの提供を開始。その後も、中央日本エリア内の自治体が収集したデータも追加するなど、サービスを拡張していた。連携協定はこれまでの実績を踏まえて締結したもの。中央日本総合観光振興機構の常務理事・事務局長の荻野光貴氏は、「連携の目的を再確認し、継続的な事業運営による観光地域活性化への貢献を果たす」と、協働体制のさらなる飛躍としての連携協定の締結であることを強調した。