訪日外国人旅行者を狙ったぼったくりなどの被害が、国内有数の繁華街、東京の歌舞伎町で今年の夏頃から急増している。
警視庁は英語や中国語などで注意を呼びかけるアナウンスを街頭で流すなど対策に乗り出している。

新宿警察署によりますと、歌舞伎町では外国人旅行者などが法外な料金を請求されるぼったくりや客引きの被害に遭ったという110番通報が、去年は1か月当たり数件程度でしたが、今年7月以降は毎月、15件前後と急増しているという。
具体的には、「客引きに『5000円で飲める』と言われてキャバクラに入ったが、実際には50万円ほど請求された」とか、「客引きに女の子を紹介すると言われて部屋に連れて行かれたが、女の子は現れず、金だけ請求された」といったケースが相次いでいるという。

外国人旅行者などに注意を呼びかけようと、新宿警察署は27日夜から歌舞伎町の人通りが多い場所に設置されたスピーカーを使って、ぼったくりや客引きに注意を呼びかけるアナウンスを流す対策を始めた。
以前から日本語ではアナウンスしていたが、新たに英語や中国語、韓国語でも呼びかけている。
外国人旅行者がよく閲覧する観光情報サイトにも英語や中国語で注意を呼びかける文書を掲載しているほか、地元商店街と協力してパトロールして、さらに対策を徹底したいとしている。

日本は安全なイメージがあるが、こういう問題が相次ぐと「イメージが悪くなる」と外国人観光客は話していた。
また、「インターネットなどで不当な請求をされる問題がある」「メニューを確認できる店にしか入らない」とも話していた。

今年1月から10月までに日本を訪れた外国人旅行者は推計で1100万9000人となった。
中でも、歌舞伎町をはじめとする新宿は人気で、東京やその周辺を訪れた外国人の40%余りが新宿を訪れていたという。
6年後に迫った東京オリンピックを見据えて、大型ホテルの開業が予定されており、今後、外国人がさらに増えることが予想される。

外国人旅行者などがぼったくりや客引きの被害に遭って110番通報した件数は、この半年間で71件。
中国や台湾から訪れた人が全体の6割を占め、韓国人が3割、残りの1割には、アメリカ人やスイス人なども含まれている。
6月は7件だったが、7月は14件、8月は15件、9月は13件、10月は15件に上り、今月は14日までに7件と、7月以降、急増している。
被害はすべて客引きで、英語や中国語で声をかけてきた外国人などの客引きに店に連れて行かれ、法外な料金を請求されるケースが目立つという。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141128/k10013551561000.html