『大阪府謎解き散歩』という本がブレークしているそうだ。
大阪のまち歩きのガイドさんやキーマンが執筆したものだというだけで触手が動くが、学術書ではなく、地域に残る逸話や伝聞をもとに構成しているので素晴らしい。今日は、橋爪紳也教授の前書きを紹介させていただきたいと思う。           
 
他の都道府県版『謎解き散歩』では、歴史学や郷土史の専門家が分担されている例が多いようだが、大阪府版では『なにはなんでも大阪検定』の1級および準1級合格者や街歩きのアテンダントをされているプロ・ガイドの皆さんに執筆をお願いした。日々、街の歴史や文化を語っておられる立場から「謎」を厳選していただき、大阪の「知られざる魅力」を解き明かしていただくとある。
大阪は、古くは「なにわ」と呼ばれ、「浪速」「難波」「浪花」「浪華」などの漢字が充てられた。
河口部に堆積した土砂がかたちづくった多数の砂洲は「浪華八十島」と総称され、仁徳天皇が開削されたとされる水路は「難波の堀江」と呼ばれた。
一方「おおさか」の名は、「日本書記」にある「烏瑳個(小坂)」に遡るという。中世には「小坂(おさか・おざか)」と記されたようだが、蓮如による「大坂御坊(石山本願寺)」の建立、豊臣・徳川による城下町建立を経て「大坂(おおざか)」の名が定着するという。
近世の大坂は、経済・商業の一大中心地として繁栄をみた。諸国の物産の集積、各藩の蔵屋敷が建設された。世界初の先物取引所である堂島米会所も開かれ、天下の台所とも讃えられた。また文楽に代表される文化や芸能のほか、町人たちによる学問も発展、江戸・京ともに三都の一つに数えられた。
明治元年。「坂」の字を「阪」に改めて、「大阪府」が誕生した。新政府が「府県藩三治制」のもと江戸府(東京府)・京都府・神奈川府・越後府・甲斐府・奈良府・函館府・長崎府とともに大阪府をおいた。「廃藩置県」ののちも、大阪は「府」に据え置かれた。
大阪府は、近世の城下町を核とする大阪市域だけでなく、かつての摂津国の東部、和泉国、河内国までを含む。
本書を手がかりに、古代から今日に至るまで、近畿圏のみならず、西日本の中核地域という役割を担ってきた大阪の魅力を探求していただけると幸いであるという。
 
 
私も橋爪先生が主催する「コミュニティツーリリズム研究会」に参加しているが、橋爪先生のお考えに共感することが多い。大阪が、関西が、その地域の持つアイディンティティを大切にするなかで、「観光」をキーにして地域再生を行うことが大切だと考えている。
 
http://www.amazon.co.jp/大阪府謎解き散歩-新人物文庫-橋爪-紳也/dp/480614696X