外国人観光客の〝ドル箱〟ツアーになった京都・トロッコ列車 USJから流入…2年連続100万人突破の秘訣
(産經新聞 1月13日)http://www.sankei.com/west/news/150113/wst1501130004-n1.html

京都の嵐山と保津峡を結ぶトロッコ列車の年間利用者数が、2年連続で100万人を突破し、今年度は過去最高ペースで推移している。昨年12月末時点で100万6906人。1、2月は冬期休業し、3月に運行が再開されるが、年間利用者が史上最高となるのは確実という。日本人観光客も増えているが、人気を支えているのは外国人観光客。いまや「外国人向けの京都ツアーでは、トロッコ列車が組み込まれないと売れない」というほどの人気ぶりだ。大阪でUSJで遊んだ後、トロッコ列車を楽しむコースが〝ドル箱〟になりつつある。

保津川渓谷沿い。春は満開の桜、秋は鮮やかな紅葉と、四季折々の景観を楽しみながら7・3キロを約25分かけて走るトロッコ列車。1時間に1本の運行だが、平成25年度の年間利用者は約105万人と、3年の開業以来初の大台を突破した。
今年度は、25年度より1カ月早く100万人の大台を超えた。

約20万人が外国人観光客で、うち約7万人が台湾からの団体旅行客。香港や韓国、シンガポール、マレーシア、欧米などから訪れる人も多い。
USJなど大阪観光を楽しんだ外国人観光客が大阪で宿泊。翌朝、バスで亀岡市まで移動し、トロッコ列車に乗る、というツアーが増えている。
外国人観光客で最も多いのは台湾からの乗客。社員たちが、台湾を中心に積極的な営業活動を進めた成果でもある。
桜や紅葉という日本の四季を実感できるツアーとなっていることが人気の原動力になっているという。午前9時35分の亀岡発の列車はほとんどが台湾からの団体客で満席といっていい。

きっかけは、京都の新しい観光資源として山陰線の廃線を活用できないか、という京都府の打診だった。トロッコ列車の運行は運輸省(現国土交通省)から認可され、平成2年11月に正式に開業が決まったが、開業期日が3年4月に設定され、準備期間はほとんどなかった。
線路はすっかりさび付き、雑草は伸び放題。とても列車を走らせる状態ではなかった。社員たちは、線路や枕木を取り換え、草刈りに追われた。客車も木材などを運んでいた貨車をレトロ風のトロッコ列車に改造した。

今では春の名物となっている満開の桜のトンネルも開業当時、長谷川一彦前社長(現顧問)らが中心になって桜の木を植えた。
急ピッチの作業の結果、なんとか開業にこぎつけたトロッコ列車。当初は年間利用者数は23万人程度と見込まれていたが、ふたを開けてみれば、開業初年度の利用者は予想の3倍となる69万人超。その後も右肩上がりに乗客数を伸ばしていった。

人気の裏側には、社員の努力やアイデアもある。
沿線で紅葉の見どころや景観の良いポイントでは徐行運転。社員が扮した伝説の鬼「酒呑童子」が車内で記念写真に応じるなど、乗客へのサービスを怠らない。駅売店でコーヒーを注文すると、「嵯峨野」のロゴが入ったプラスチック製のカップにコーヒーを注いでくれるだけでなく、「記念に持ち帰ってください」と、ポリ袋を一緒に渡してくれるというひと工夫も。