政府、観光業界に新型コロナの影響と要望をヒアリング、日本旅行業協会や日本バス協会などから8名が参加
(トラベルボイス 2020年3月25日)
https://www.travelvoice.jp/20200325-145782

新型コロナの影響が観光業界に甚大な影響を与えている。
今は感染拡大が収束に向かうための施策が一番であるが、観光業会も、雇用や資金繰りの対策を求めるものが多い。未曾有の事態に向けた対策を求めたい。
また終息後の対応についての検討も並行して求められる。

【ポイント】
政府の新型コロナウイルス対策本部が、感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリングを開催した。

旅行業界:
JATA坂巻氏は、主要旅行業者総取扱額データの2019年と2020年(予測値)の比較を示して説明。
ANTA近藤氏は、会員への緊急調査として予約減少状況提示し「現状が続いた場合、資金繰りがどれくらい持つか」に対し、4割が「2~3か月」、3割が「3~6か月」との回答を提示した。
またキャンセル・延期数は、国内旅行は、2月28日に2796社の35万6000人に急拡大した。

旅館業界:
日本旅館協会北原氏は、「日本人・外国人ともに宿泊キャンセルや予約控えが進み、リーマンショックや東日本大震災以上の甚大な被害になっている」と説明。
要望として、資金繰り支援の大幅拡充、既往債務の返済猶予、雇用調整助成金の大幅な拡充・申請手続きの迅速化・簡素化、公租公課やNHK受信料の減免、旅行需要喚起策の大規模な実施などを挙げた。

バス業界:
日本バス協会の中村氏は、貸切バスの運送収入減として、2020年3月は前年比79%ダウン、4月は64%ダウン、5月は55%ダウンとの見込みを提示。3月のキャンセル数やキャンセルによる被害額として、1万9259件で19億9552万円にも上る見通し(3月中旬時点)を明らかにした。
訪日外国人旅行者の減少に加え、イベント中止や休校措置によるスクールバス運休などによって急激に利用者が減少していることも説明。
要望として、雇用調整助成金やセーフティネット貸付、車両購入リース料などに関する資金繰り支援、マスクなどの優先的な供給といった内容を提示した。

航空業界:
定期航空協会会長(ANA代表)平子氏は、国内航空会社の現状として、「旅客数が1ケタ台の便も散見される」ことを説明。各社が運休・減便を実施しても旅客数の下落に歯止めがかからず、未曾有の危機であると示した。
2020年5月までの減収見込みは、リーマンショック発生時の減収額(約3000億円)を超える約4000億円以上が見込まれ、さらに拡大すると予想した。
要望としては、空港使用料や各種税などの支払い猶予や還付・減免、助成制度の創設、政府保証付き融資、雇用調整助成金の上限額や補助率の引き上げを明示。また終息を見据えた大規模な需要喚起策への助成も必要だとした。

フェリー業界:
日本旅客船協会副会長の加藤氏は、約半数のフェリー・旅客船事業者が3月上旬時点で予約件数が7割以上減少、売上金額が7割以上減少したことを提示。
要望では、雇用調整助成金の拡充、無利子無担保融資の拡充のほか、離島航路への手厚い支援、造船所支援への配慮などを提示。
また終息後の施策として、高速道路料金の引き下げが物流を担うフェリーへの甚大なマイナス影響がある点を説明。海運・観光・物流業界それぞれのバランスがとれた施策を望むとした。