コロナ新規感染、日本がG7最多 厳格水際に海外から批判
(日本経済新聞 2022年7月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB275PK0X20C22A7000000/?unlock=1

【ホッシーのつぶやき】
日本の新規感染者数が20万人超えとなり、G7で最多となった。7月以降突出しているが重症化は少ない。尾身会長も「季節性インフルエンザと同様の5類に近い方向」との見解を示している。
このような状況の中、海外からの感染者流入を食い止める厳しい水際対策を続けている日本を、IATAの事務総長は「日本政府に対し、国境の開放と復興に向けてより大胆な手段をとることを求める」と名指しで批判している。
ここまで感染が拡大すると、わざわざ日本を旅行先に選ばない状況が続きそうだなあ…

【 内 容 】
新型コロナウイルスの感染拡大「第7波」が到来するなか、日本の新規感染者数が主要7カ国(G7)の中で最多となった。多くの先進国が往来再開にかじを切るのと対照的に日本は厳格な水際対策を続ける。だが海外からの感染流入を防ぐ狙いの措置と、既に国内で感染がまん延する状況との間には、大きな乖離(かいり)が生じている。

米ジョンズ・ホプキンス大によると、日本の新規感染者数(7日移動平均)は26日時点で約17万6000人。直近1カ月で10倍以上に膨らみ、米国(約12万9000人)を上回った。感染力が強いとされるオミクロン型の派生型「BA.5」へ置き換わりが進み、感染拡大に歯止めがかからない状況だ。

浜田篤郎・東京医科大学特任教授は、今年前半の国内の感染状況が各国よりは比較的落ち着いていたため「感染によって免疫を持った人が増えず、現在の感染者数増加につながっている可能性がある」と指摘する。

先進国で最悪の感染拡大状況にあるにもかかわらず、日本は海外からの感染者流入を食い止めるための厳しい水際対策を続けている。

6月には外国人観光客の受け入れを一定条件下で再開するなど入国制限は一部緩和し、7月28日からは待機が必要な場合も原則7日から5日に短縮するとした。しかし入国者数の上限はなお1日当たり2万人のみ。「ゼロコロナ」規制を掲げる中国に次いで、主要国の中で突出して厳しい制限を設けている。

欧米諸国は往来再開へかじを切った。英国は3月に水際対策を一切なくしワクチン接種や事前検査なしでも入国できるようにした。ドイツは6月に入国規制を全面撤廃、米国も6月に入国前の陰性証明の提示を不要とした。

往来需要を抑える日本では、6月の訪日客数がコロナ前の2019年6月と比べ95.8%減の12万400人にとどまった。急速に進む円安は本来ならインバウンド需要を取り込む好機だが生かせていない。

世界の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュ事務総長は「日本政府に対し、国境の開放と復興に向けてより大胆な手段をとることを求める」と名指しで批判した。

変異を繰り返す中で感染力を強めながらも毒性は弱まった新型コロナを「ふつうの病気」に位置づけるべきだとの専門家の指摘も出てきた。

政府分科会は7月14日、新型コロナを「一疾病として日常的な医療提供体制の中に位置づけるための検討」を提言した。より多くの診療所や病院で受け入れ体制を早急に整える必要があるとの認識で一致した。

感染症法上の見直しも検討課題だ。現在は新型コロナは「新型インフルエンザ等感染症」にあたり、感染者の全数把握などを求められる。一方、季節性インフルエンザと同様に「5類」相当にすれば全数把握は必要なくなり、保健所の負担が軽減する。

分科会の尾身茂会長は14日の記者会見で「コロナも『5類』に近い方向にいくことになる」との見解を示した。