日本人の余暇活動は「国内旅行」が9年連続トップ、スポーツ観戦が増加、観光・行楽部門で「鉄道」など過去最大を更新  -レジャー白書2020
(トラベルボイス 2020年8月25日)
https://www.travelvoice.jp/20200825-146915

【ポイント】
2019年の余暇活動も上位7位までは前年と変わらず、最多は9年連続で「国内観光旅行」で、2位が外食だった。
増加率の最多は「有料動画配信」で伸び率は26.1%、電子出版(23.8%)だった。この分野は、コロナ以前から伸びていたが、コロナ禍でさらに伸び率が加速しており、今後もオンラインのサービスが余暇市場に影響を与える。ウィズコロナ時代は「安心」「近場」「簡単」なレジャーが求められるという。

【 概 要 】
日本生産性本部の余暇創研は「レジャー白書2020」の概要を公表した。
2019年の日本の余暇活動をまとめたものだが、新型コロナウイルスの感染拡大で、レジャー産業を取り巻く環境も大きく変化したことから、緊急事態宣言が解除される2020年5月までのコロナ禍の影響と今後の課題についても特集している。

2019年の余暇活動で、最も多かったのは9年連続で「国内観光旅行」。前年より微減となったものの、約5400万人で、2位の外食約4350万人を1000万人以上上回った。
上位7位までは前年と変わらず。上位20位のうち、前年よりも参加人口が増えたのは「外食」「映画(テレビは除く)」(5位)「音楽鑑賞」(7位)「ウォーキング」(10位)「宝くじ」(14位)。
順位が上昇したのは「カラオケ」(11位)「宝くじ」(14位)「音楽会・コンサート」(17位)「テレビゲーム(家庭での)」(20位)。

1人あたりの平均参加種目数は、2019年は前年比0.1種目減少して12.3種目。部門別では、趣味・創作で増加した一方、スポーツ、娯楽、その他部門で減少となった。
男性では前年比0.2種目減、女性は同0.1種目減。男性は10代、20代、70代で増加しており、10代の1.0種目増が最も大きい伸びとなった。
女性は10代、20代、70代に加え、40代が前年から増加。特に女性10代は、前年の15.5種目から17.3種目と大きく増加し、最も多い参加種目数となった。

2019年は、ラグビーワールドカップをはじめ、スポーツイベントが多く開催されたことから、「スポーツ観戦(テレビを除く)」が前年よりも2.1ポイント増の16.5%になった。
男性では同3.1ポイント増の21.3%と大きく伸びた。将来の参加希望率でも全体で同2.3ポイント増の20.6%。最も上昇幅が大きかったのは男性20代で同11.2ポイント増(32%)。次いで女性20代の同7.9ポイント増(20.9%)。

桜美林大学ビジネスマネジメント学群の山口有次教授の「余暇関連産業・市場の動向」によると、2019年の余暇関連市場規模は同0.6%増の72兆2940億円。パチンコ・パチスロを除くと同2.2%増で7年連続増加した。

部門別では、「娯楽」「趣味・創作」「スポーツ」が減少あるいは横ばいであるのに対し、「観光・行楽」がインバウンドの増加によって2011年から右肩上がり。2019年は40兆円を超えた。
「観光・行楽」部門で、2019年の過去最大規模の更新は、「鉄道」「ホテル」「海外旅行」「国内航空」。一方、「旅館」の市場規模は、縮小傾向が続いている。

最も増加率が高かったのは「有料動画配信」で伸び率は26.1%、電子出版(23.8%)、有料音楽配信(10.9%)だった。この3分野について、コロナ以前から伸びていたが、コロナ禍でさらに伸び率が加速したとし、今後もオンラインのサービスは余暇市場に影響を与えるとの見通しを示した。

ウィズコロナ時代の市場傾向として「安心」「近場」「簡単」なレジャーが求められるとした。
レジャー産業は、3密対策に伴うキャパシティ抑制、高付加価値化と価格戦略の見直し、感染防止対策の観点から接客コミュニケーションのあり方が変化するとした。
オンラインコミュニケーションが拡充していくことから、個人データに基づくパーソナライズされたサービス提供が増えると予測。
人材の観点では、生産性向上や新たな人材育成方法が求められると指摘した。