航空データから読み解く、今夏の海外旅行とインバウンド回復の見通し、海外航空会社が日本に期待する理由と課題を聞いてきた
(トラベルボイス 2022年5月11日)
https://www.travelvoice.jp/20220511-151144

【ホッシーのつぶやき】
日本は厳しい入国規制を続けているが、水際対策が段階的ながらも進んでいる日本に、海外の航空会社が目を向けているという。東南アジア路線では、3月の約26万席から10月には約51万席とほぼ倍増。北米路線でも8月は3月の2.3倍の約45万年8000席に急増すると予想。
羽田、成田、関西、名古屋、福岡などの主要国際空港では、今夏にコロナ前の7割ほどに回復するというが、東アジアからのインバウンド需要に支えられた地方航空は厳しい状態が続くようだ。
コロナの感染抑止と経済復興、両方を見つめる中で急激な回復は期待できないが、岸田総理が言う「6月の入国規制の大幅緩和」に期待したい。

【 要 約 】
今夏に向けて急増する日本発着の座席数
欧米や東南アジアでは入国規制の緩和が進み、コロナ前の状況に戻りつつある一方、日本を含めた東アジアは依然として厳しい措置を継続している。特に、ゼロコロナ政策を続けている中国の国境開放が見通せないなか、東アジアの市場規模を考えたとき、多くの海外航空会社(外航)が水際対策が段階的ながらも進む日本に目を向けている。
山本氏は「今夏の日本への座席供給量を増やしている。日本への期待は非常に高いと見ていい」と話す。
OAGの座席数データを見ると、各方面とも日本発の座席は春から夏にかけて増加している。東南アジア路線では、3月の約26万席から7月には約45万席に増え、10月には約51万席とほぼ倍増。前年比でも月によっては2倍以上の伸びになっている。

北米路線でも、3月から右肩上がり。8月には3月の2.3倍の約45万年8000席に急増、コロナ前の2019年8月の約58万7000席に迫っている。オセアニア/太平洋路線も同様だ。5月はまだ前年同月とほぼ同じ約2万9000席だが、その後倍々で増加し、8月には約14万1000席となり、2019年同月の7割ほどまで回復する。

日本の地方空港、復活は中国次第
供給量回復の動きは、羽田、成田、関西、名古屋、福岡などの主要国際空港で見られ、この5空港では今夏にはコロナ前の7割ほどに回復すると期待されている。一方、厳しい状況が続くと予想されるのが地方空港だ。
コロナ前、地方空港のほとんどが中国、韓国、台湾、香港の東アジアからのインバウンド需要に支えられていた。韓国では緩和は進むものの、現状でも世界で最も厳しい旅行規制を続けている国・地域ばかり。「現実的に、中国が国境を開かない限り、地方空港での国際線回復は難しい」(山本氏)。
まず台湾と韓国からの路線復活が期待されるが、山本氏は「その場合、鍵となってくるのがPCR検査体制」だと見ている。現状の入国規制から、各自治体がその大量の検査体制を構築できるのかどうか。山本氏は「今夏までにできなければ、路線の回復基調は来春に遅れる可能性がある」と話し、地方空港の復活は相手国の水際対策への対応次第との考えを示した。
山本氏は「国境が開いた時点では、需要は爆発するだろう。しかし、コストが上がれば、LCCも戦略を見直さざるを得なくなるのではないか」と予想する。

日本人の海外旅行、近場から回復か
供給データやGDSなどからの航空需要データなどから、山本氏は「今夏の海外旅行需要は世界的に近場から戻るのではないか」と予想する。英米の予約動向からもその傾向が出ているという。日本発では、グアムやハワイ、タイのリゾートなどが有望だとする。
日本の入国規制の早期撤廃に期待を示した。