2閣僚辞任で漂流するカジノ法案 〜2020年開業という「達成不可能」な目標〜
(日経ビジネスオンライン 11月7日)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20141105/273446/?P=2&n_cid=nbpnbo_author

統合型リゾートを拙速に導入するより、議論を重ねることが大切です。
震災復興やオリンピック建設等によるリソース不足の中で建設を進めるのも経済的不合理が生じそうです。

【ポイント】
・IR推進法が今期臨時国会で成立しなければ、2020年のオリンピックまでの開業に赤信号がともりかねない。(IR議連)
・現在審議されているIR推進法案は、カジノ合法化と統合型リゾート導入の「検討を開始する」ための法律。導入するには更なる法制手続きが必要。

・現在の我が国の土木建設業における建設技術者や資材等のリソース不足は非常に深刻。
・オリンピックを目指して訪日する外国人観光客は多くないので、統合型リゾートを無理矢理オリンピックに間に合わせる合理的な理由はない。
・ロンドン五輪開催の2012年にイギリスを訪れた外国人観光客は3109万人。そのうちオリンピックが開催された7月から9月の観光客は約900万人。その中でオリンピックに「実際に参加した」者は約83万人で、10%にも満たない。

・オリンピックはパラリンピックまで含めて2カ月弱の単発イベント。継続的な利用がなければ統合型リゾートの効果が引き出せない。
 アフターオリンピックの景気対策にこそ統合型リゾート導入の目的とすべき。
・政府は2030年までに訪日外国人客3000万人に増やすという目標を掲げている。2020年の東京五輪は通過点に過ぎない。
・リソースが不足している中で、拙速に開発を進めれば必ず無理や妥協が生じ、統合型リゾートの経済効果を最大限に引き出せない。