日本の文化に興味津々! 「マナーが悪い」中国人が模範にする「富裕層」のふるまい
(マイナビニュース 2019年6月5日)
https://www.j-cast.com/kaisha/2019/06/05359068.html?p=all

2018年の訪日日中国人は838万人、旅行消費額は1兆5450億円、訪日外国人全体の4兆5189億円の34%を占める。しかし、中国人富裕層の人気観光地は、1位が「ヨーロッパ」で、「アメリカ」「アフリカ」「東南アジア」と続き、「日本」は5位だ。
「流動資産1億円以上」の中国人富裕層は230~240万世帯いる。好みも多様化しており、特に富裕層は教養があり文化に関心があり、第二世代の「富二代」は日本に親近感を持つものも多いという。
しかし「中国人はマナーが悪い」というイメージが定着し、レストランの予約も取れないといい、多様化している富裕層にも目を向ける必要があるようだ。

【ポイント】
2018年に日本を訪れた中国人は過去最高の838万人、海外旅行を楽しんだ全中国人(延べ1億6000万人)の5%に過ぎない。
まだ中国人客を日本に誘致する余地は大きいし、なかでも富裕層の取り込みは旅行消費額増加に効果的と、三菱総合研究所の劉瀟瀟(りゅう・しょうしょう)研究員は主張する。

2018年の訪日外国人旅行消費額は4兆5189億円。中国が1位の1兆5450億円で34%。2位の韓国は5881億円で13%。最近メディアでは「訪日中国人消費は一巡した」「欧米富裕層をもっと取り込め」という論調も出ているが、ボリュームが大きい中国人旅行客をもっと細かく見ることが、インバウンド推進のためには不可欠だ。

「流動資産1億円以上」の富裕層は中国全体で230~240万世帯と推計されます。こうした人たちの海外旅行動向を、中国の民間調査機関「胡潤研究院」が昨年、大手旅行会社と調べたところ、人気観光地は1位「ヨーロッパ」で、「アメリカ」「アフリカ」「東南アジア・南アジア」と続き、「日本・韓国」は5位でした。
中国のお金持ちにとって日本は、まだまだ盛りあがる余地がある旅行先なのです。
年に3回は海外で遊び、年間の家族旅行の買い物代が約300万円というのが、富裕層の平均的海外旅行像です。

富裕層といっても、ゼロから起業して成功した人と、その子供とでは嗜好も異なり、中国では「富一代」「富二代」と言われる。「二代」は幼いころから日本のアニメに親しみ、日本への親近感が強い世代です。
また「富一代」でも、教養や文化的関心の有無によって、やはり違った層となります。文化などに関心の薄い人は、ブランド品の爆買いをしたり、自分のお金をひけらかしたりする「声の大きい中国のお金持ち」のイメージそのものです。

教養があり文化に関心がある「富一代」は、日本での「企業学習ツアー」が最近盛りあがっています。
日本の老舗メーカーや工場訪問、有名な起業家との交流や座談を、自分のビジネスを見つめ直そうというツアーで、中国人の会社が主に企画・運営している。
子供に京都、奈良のお寺や神社を見学させるツアーも約3年前から人気を呼んでいる。子供はその結果をインターナショナルスクールで、英語で発表したりする。
唐の時代の長安をお手本に造られた京都、奈良は、中国人にとっても歴史と触れ合う場所。
子供に欧米だけではなく、日本文化や昔の中国のことを学ばせたい富裕層が増えている表れです。

「富二代」で、日本の伝統などに関心を抱く若い人たちは、高級着物の着付け、一対一の茶道や華道レッスン、ミシュランに選ばれた名店の料理人が教える日本料理教室、地方では高級梅酒づくりなど、さまざまな上質の楽しみを、どんどん味わうようになっている。
日本側は、モノ、コト、ココロのすべてを満足させるサービスを充実させる必要があるのですが、残念ながら受け入れ体制はまだ未整備で、多様化している中国富裕層の好みに応えきれない例が少なくない。

中国の富裕層は日本の有名レストランで、貸し切りは無理としても、できるだけそれに近い形で食事をしたい。プライベートジェットで来日することが珍しくない人たちですから。
でも、クローズドな空間を整えているレストランは少なく、予約の電話を入れた時点で「中国人はお断りです」と言われることが珍しくありません。
富裕層に頼まれて予約を入れたことがある私自身、個人的に何度も体験していることです。
「中国人はマナーが悪く、ほかのお客さんの迷惑になるから」というのが店側の言い分ですが、日本文化に関心を持つような「富一代」、教養がある「富二代」なら、日本のマナーをちゃんと理解してくれます。

中国の富裕層が日本で楽しみを思う存分味わえるようになれば、そうした層よりも所得は下がる「プチ富裕層」がマネしようと日本を訪れ消費します。その後には、ボリュームが大きい一般客がマネしていく。
日本での旅行消費額が膨らんでいく好循環に向け、多様化している富裕層に目を向けてください。