中国人観光客が輸出し到来する「キャッシュレス戦国時代」の行方
(ダイヤモンドオンライン(『東方新報』取材班) 2019.3.18)
https://diamond.jp/articles/-/197098

中国の「アリペイ(支付宝)」と「ウィーチャットペイ(微信支付)」が、猛烈に浸透し始めている。
18年の訪日中国人は800万人を突破し、総消費額は日本円換算で約1537億円に相当する。
17年にウィーチャットペイを導入した日本の小売店は20倍、店舗数は35倍に増えた。アリペイの導入企業は4万~5万店舗におよび、18年7~8月に、アリペイを使った中国人1人当たりの消費額は約3900元(約6万5000円)52%増で、取引件数も65%増加したという。
「PayPay」もアリババグループと提携し、PayPay導入店舗でアリペイが使用できる。
「StarPay」と呼ばれるこのマルチ決済が登場している。ウィーチャットペイやアリペイや銀聯(UnionPay)をはじめ、日本のサービスであるLINEPayや楽天Pay、PayPayなどを一つにまとめたもので、自動識別システムを備えているという。
日本政府はキャシュレス決済が87兆円市場になると見込んでいる。

【ポイント】
2018年、日本は「キャッシュレス決済元年」が迎えた。
中国のキャッシュレス決済の2大巨頭であるアリババグループ傘下の「アリペイ(支付宝)」と、テンセントの「ウィーチャットペイ(微信支付)」が15年に日本市場に参入して以来、猛烈に浸透し始めている。

18年に訪日した中国人観光客は過去最高で800万人を突破。その総消費額は人民元で956億元、日本円で約1537億円に相当する。
中国人観光客によるドン・キホーテでのアリペイ利用率は、導入済みの店舗で30~40%、キャンペーン期間中であれば60%以上になり、ヤマダ電機の「アリペイ販促キャンペーン」期間中の消費額は50%以上伸びたという。

各デパートでも、電子マネー決済での割引やキャッシュバックを始めており、ファミリーマートは、1万7000店舗がアリペイとウィーチャットペイが利用できるようになっている。
17年の1年間でウィーチャットペイを導入した日本の小売店は20倍、店舗数にして35倍まで増えたという。18年6月時点の日本の取引件数は、前年同期比で6倍以上だ。
アリペイも、空港やデパート、レストラン、観光地の人気スポットなど、47都道府県の各旅行サービス施設を網羅する戦略で、導入企業は4万~5万店舗におよぶという。

18年7~8月の夏休み期間中に、アリペイを使った中国人1人当たりの消費額は約3900元(約6万5000円)。これは前年比52%の増加で、総取引件数も65%増加したという。
ヤフーとソフトバンクが提携した「PayPay」も、アリババグループも提携し、PayPay導入店舗でアリペイが使用できるようになっている。
テンセントもLINEと提携し、日本の小売店向けにモバイル決済サービスを提供すると発表。12月中旬からウィーチャットペイに対応した端末をレンタル形式で提供し始めている。

「StarPay」と呼ばれるこのマルチ決済は、ウィーチャットペイやアリペイや銀聯(UnionPay)をはじめ、日本のサービスであるLINEPayや楽天Pay、PayPayなど、国内外の各種キャッシュレス決済を1つにまとめ、1台の端末、1つの管理画面、1つの精算システムで行えるという。
ネットスターズが月末に一括して精算し、各加盟店に売り上げを分配するので、便利に安心して使える。18年にこのマルチ決済サービスを契約・導入した店舗は10万9400店舗におよぶという。

StarPayは、自動識別システムを備えているため、QRコードをスキャンする際に、決済サービス会社を指定したり、システムを切り替えたりする必要がない。
マルチ決済サービスは大手企業からも注目を集めており、NTT東日本や日本郵政グループ、LINE、新生銀行、ぐるなび、伊藤忠などと資本・戦略提携などを結んで、日本のQRコード決済市場を作り出している。
「日本政府はキャシュレス決済は87兆円市場になると見込んでいるようだが、実際のマーケットはさらに拡大中で、その達成速度もさらに早まるだろう」という。