令和元年版 観光白書 (第2部)
(観光庁 2019年6月21日)
http://www.mlit.go.jp/kankocho/news02_000386.html

「コト消費」が増えており、地方部を訪問する訪日客数は、三大都市圏のみを訪問する訪日客数の1.4倍となった。
スキー・スノーボード の経済効果は約650億円と、一人当たりの旅行消費額も大きくなる。
観光関連産業における雇用、賃金ともに増加。
宿泊業の建築物工事予定額は2018年(平成30年) には1兆円を超え、6年間で9.0倍。しかし増加率は低下している。
日本の食材の購入や日本食レストランの利用は、訪日旅行をきっかけとしたものが半数を占める。

【ポイント】
◎地方を訪問する外国人旅行者の増加とコト消費の動向
地方部を訪問する訪日客数は、三大都市圏のみを訪問する訪日客数の1.4倍となった。
「スキー・スノーボード」などの「コト消費」を行う訪日客は、 地方部への訪問率が高い。
地方部訪問率が60%を超える「地方型コト消費」が「訪日前に最も期待していたこと」であった訪日客の割合は、5年間で6.6 ポイント拡大。
スキー・スノーボードの体験の有無による訪日客1人当たり旅行支出の差と、体験した訪日客数より算出したスキー・スノーボード の経済効果は約650億円。
地方部訪問率が60%を超える「地方型コト消費」が「訪日前に 最も期待していたこと」であった訪日客の割合は、5年間で6.6 ポイント拡大。
日本人と訪日外国人を合わせた旅行消費額のうち 訪日外国人の占めるシェアは、大阪府、東京都、 京都府、福岡県、愛知県の順に高い。
他方、日本人による旅行消費額の大きい都道府県において、 必ずしも訪日外国人の旅行消費額が大きくなってはいない。

◎観光関連産業における雇用、賃金、生産性の動向
宿泊業の従業者数は2012年からの6年間で8万人、 14.5%増加。特に女性、高齢者の従業者数の伸びが大きい。
宿泊業の平均賃金は6年間で11.0%上昇、従業員1人当たりの売上高は、4年間で13.8%増加
宿泊業の新規求人数は2014年からの4年間で16.4万人 から19.5万人へと18.9%増加した。
「宿泊・飲食サービス」の人手不足感は他産業を上回る ペースで高まり続けている。

◎観光関連産業における投資の動向
宿泊業の建築物工事予定額は2018年(平成30年) には1兆円を超え、6年間で9.0倍。
工事予定額を地域ブロック別にみると、北海道、近畿、九州では、 6年間で2桁を超える倍率で伸びている。
宿泊業の建築物の着工棟数は6年間で2.7倍、床面積は5.9倍に増加。
インバウンド需要は、宿泊業のみならず、製造業含め幅広い業種、かつ全国各地において投資を創出。

◎各国における訪日旅行契機の消費の動向
各国・地域において、日本の食材の購入や日本食レストランの利用は、半数前後が訪日旅行をきっかけとしたものとなっている。

◎訪日外国人旅行者の増加が観光地に与える影響
訪日外国人旅行者の増加による好影響については、Wi‐Fiの整備や賑わいの創出などを挙げる意見が多い。
訪日外国人旅行者の増加による国内旅行への影響については、「ほとんどなかった」との回答が約65% と最も多かった。
訪日外国人旅行者の増加は、「話題のスポットに行ってみたい」、「観光地の魅力を知ることになった」といった理由で、国内旅行のきっかけになっている。
他方、「観光施設が混雑する」、「宿泊費が高くなる」といった理由から、国内旅行を抑制する 影響もみられる。

◎自然災害が旅行に与える影響
2018年(平成30年)に発生した「大阪府北部地震」、「台風21号」、「平成30年7月豪雨」、 「北海道胆振東部地震」については、災害後一時的に被災地での延べ宿泊者数が減少したものの、 「ふっこう割」等の効果もあり、いずれも比較的短期間で回復がみられた。