世界の旅行需要予測2019、出張旅行からホテル・航空・クルーズなど業界別展望まで ―スキフト予測【外電】
(トラベルボイス 2019年1月26日)
https://www.travelvoice.jp/20190126-124759

2019年の経済成長率は、先進国では失速が予測するものの、新興市場および途上国では経済成長が続く。この結果、世界全体での経済成長率は、2018年と同レベルに落ち着くと予測されている。
2018年の世界の海外旅行者数は、UNWTOが14億人と発表しており、スキフトでは2019年は5%増の15億人、2020年は16億人。2030年は18億人と予測している。
UNWTOも同じ傾向になると予測。

【ポイント】
2018年の観光市場は、成熟市場から新興市場まで、世界全体がとても順調に成長を遂げた。
米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」は調査レポートをとりまとめ、2018年の総括と、2019年の米国およびグローバル旅行市場に関する予測を発表した。

2019年もここ数年と同様、力強い経済成長が続くという見方。
これまでとは異なる状況もあるが、景気は手堅く、旅行業界には追い風となる。
世界経済を揺るがす大事件に見舞われない限り、2019年もふたたび安定成長の年となる。

2018年は、2017年末に予想していた楽観的な見通しのまま好調に推移した。グローバルGDP成長率は、2017年とほぼ同じ、約3.7%増となった模様だ。

2018年は、世界全体での海外旅行者数は過去最高を更新する見込みで成長幅も大きい。
2018年9月実績の海外旅行者数は、前年同期比5%増の11億人。アジア太平洋の成長率が最も高く同7%増。最も低かったのは南北アメリカで、同3%増だった。

2019年は、2017年や2018年の流れのままに安定成長が続き、グローバル実質GDPの成長率は、過去2年と同じく3.7%増との予測だ(IMF統計)。
新興市場および途上国の景気は好調で、特にインドや中東など、エネルギー資源の輸出国の経済は力強い。米国、中国、日本、欧州、英国では、昨今の貿易政策や景気の軟化により、弱含みでの推移が予想され、新興市場におけるプラス成長の勢いをそぐことになりそうだ。この結果、世界全体での経済成長率は、2018年と同レベルに落ち着く。

2019年も海外旅行者数は過去最高記録を更新するだろう。
グローバルビジネストラベル協会(GBTA)は、法人旅行の出費額について、成長率が鈍化すると予測しているが、上場ホテルチェーン各社は、2019年も「このままのペースで前進する」と楽観ムード。
クルーズ各社では、2019年の予約状況と価格はどちらも絶好調。航空会社も、旅客増とアンシラリー収入の拡大が期待できそうだ。

オンライン予約サイトは追い風だが、「大数の法則」によって、宿泊予約数の伸び率は鈍化が必至。
最大手のグローバルOTA各社は、あらゆる旅行商品をそろえたフルサービス・プラットフォームを目指す戦略を継続する。

UNWTO(国連世界観光機関)の「Tourism Towards 2030」レポートによると、2020年および2030年までの達成目標としていた海外旅行者数は、それぞれ13億6000万人と18億人。しかし我々の推計では、2018年の段階で、すでに海外旅行者数は14億人に達したと想定され、2020年の目標値14億人は低すぎる。
当社では、2019年の海外旅行者数は5%増の15億人前後に至ると見込み、2020年は16億人。2030年については、UNWTOと同じく18億人と予測している。

※編集部注:本記事原文が発表されたのち、UNWTOは2018年推計を発表。2年前倒しで海外旅行者数は14億人に達したとしている。