「全米一位の観光地、オーランドの最新状況」
(「今だからこそできるインバウンド観光対策」への原 忠之先生の投稿 2021年8月29日)
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【ホッシーのつぶやき】
フロリダ州オーランドは2019年度の年間来訪客数7千5百万人で全米最高でした。さすがに今年1月は落ち込みホテル需要のレジャー客は71%でしたが、7月には110%と回復、しかし8月はデルタ株の影響で70%まで下がっています。2021年のホテル宿泊需要は2019年比72%にとどまるようですが、特筆すべきは国際会議。他の国際会議場が怯んだ際もオーランドは積極的に誘致し、全米が37%のところ、オーランドは75%だったといいます。
コロナの感染拡大には注意が必要ですが、ワクチン接種を進め、社会活動を積極的に展開しないと世界に遅れをとることになります。

【 投稿内容 】
「全米一位の観光地、オーランドの最新状況」
2019年度で全米最高の年間来訪客数(75百万人)を記録したフロリダ州オーランド、昨日当地のDMOであるVisit Orlandoのビジネスランチ会議が数百名を招待してヒルトンオーランドの宴会場で行われました。今どうなっているのか、デルタ変異種の影響はどの程度復興を阻害したのかという照会が日本から多いのですが、結構産業界の皆様でも驚かれる数値があると推察します。

(1)ホテル需要
(2)予約状況推移
(3)今後3年間(2021-2023)の推測表
(4)2021年会議の実績
(5)オーランド国際会議場のMICE需要(2021-2024)予想
(6)オーランド国際空港乗客数実績表
(7)オーランド国際空港インバウンド需要実績と予想表
(8)インバウンド客のペントアップ需要

内容については時間のある時にNoteにメモ書きますが、まずは数値を。(各写真にメモつけときました)。
お先真っ暗状態と思い込んでいる方々が多い日本の観光産業とMICE系業務従事者には大いに元気が出る内容だと思いますので、こちらで先行公開。
昨日ほやほやの情報で、当地に日本のメデイアは居ないので、日本で報道される可能性は低いですが、日本語メデイアだけ見ていて暗く失望する必要は無い、いや幻滅していると、世界の観光復興の動きに取り残されるリスクが高いので、こういう情報を見て世界観を補正して頂ければ幸いです。
人口21百万人のフロリダ州はデルタ変異種のせいで8/27日は一日27,805人が新規感染数、347名死亡と共に過去最大を記録しているという、その環境下で敢えて800名(実際には500名前後か)を物理的に集めての会議。人口6倍弱の日本全国で8/27同日で24,023名新規感染、同日死者は57名と人口1/6のフロリダ州の方がいずれも多いですが、観光産業の意気込みと将来展望は異なります。

(1)ホテル需要
Transientというのはいわゆるレジャー客です。2021年で既に2019年COVID-19前を超えている100%超の数値が見えますね。一方でContractとグループは低調ながら、グループ客はこの夏に復調してきています。個人客中心に観光需要復興という点がトータルの陰に隠れている訳です。

(2)予約状況推移
2021年7月(Delta Variant)前はもう予約状況は個人客中心に完全復興のペースでしたが、それが落ちたのがDelta Variantの影響と言えます。無傷ではない訳です。

(3)今後3年間(2021-2023)の推測表
今年2021年のホテル宿泊需要は2019年の72%、すなわち28%減程度で切り抜けられそうです。Deltaの影響を考慮してある予想です。

(4)2021年会議の実績
他の国際会議場が怯んだ際に、意地でもワクチン開発前でも「安全に会議やエベント・展示会を開催する」という意気込みでイベントを取っているうちに、全米のミーテングプランナーから「オーランドはきちんと開催しているぞ」という印象が広まり、2021年でもこれだけ実績が取れている、という説明。
まあ確かに当地の病院その他と共同でいろいろと工夫していたし、敷地の半分をワクチン大量接種会場にまるまる貸し出したりしていました。

(5)オーランド国際会議場のMICE需要(2021-2024)予想
これがオーランドの凄さ、DMOの営業力の結果だと思います。2021年、全米のMICE需要は2019年と比較して37%(=63%減)に激減したのに、オーランドは75%(=25%減)に留めたという実績。2019年の3/4のMICE開催実績があった訳で、これは多分全米でも珍しいほどの奮闘。2022年には93%(=7%減)まで復興する予定で、先行予約は順調に積みあがっているそうです。

(6)オーランド国際空港乗客数実績表
空港乗客数の数値だけ見ると(黄色線)どのセグメントが復興しているのかいないのかが隠れますが、実は国内客は今年5月から8月まで既に2019年実績を上回っています。
オーランドの観光地としての吸引力恐るべし、という数値。で、インバウンド客需要は壊滅的だったのが、この秋から急回復しそうな予想です。それはカナダ、ブラジル、英国という三大市場からの直行便再開が予定されているからです。
この観光需要回復戦略、日本の観光戦略策定に参考になるでしょう。まずは国内レジャー客で復興需要を先行させて、インバウンド客でダメ押しの復興を図るという戦略。