2021年、国際観光は4%成長するも、パンデミック前の水準には遠く及ばず
(UNWTO世界観光指標 2022年3月10日)
https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2022/03/2022.03.10-barometer.pdf

【ホッシーのつぶやき】
2021 年の国際観光客到着数が2020年比で4%増、2019年比では72%減少です。
世界では大きく観光キャンペーンを始めています。感染防止が最優先であることはやむを得ないですが、観光を含め、社会経済活動への影響も大きいので、日本も早く訪日旅行キャンペーンを始めてほしいものです。

【 内 容 】
2021 年、国際観光は 4%成長するも、パンデミック前の水準には遠く及ばず
• UNWTO(国連世界観光機関)は、2021 年の国際観光客到着数が前年比で 4% 増と報告している。
• しかし、2021 年も厳しい一年となった。到着者数は、パンデミック前の水準 に比べ、依然として 72%減少となった。
• 回復には、連携の強化とワクチン接種率の向上が必要である。

2021 年に国際観光客到着数は、前年比で 4%好転した(4 億人から 4 億 1500 万人)。 しかし、UNWTO の速報値によると、依然としてパンデミック前の 2019 年を 72%下 回ったままである。これは、国際観光客到着数が 73%減少した、観光史上最悪の年で ある 2020 年に続くものである。

UNWTO 世界観光指標(World Tourism Barometer)の 2022 年 1 月号では、ワクチン接種率の向上や国際的な連携及び手続の増進が観光を目的とする渡航に対する制限(以下「渡航制限」という。)の緩和と相まって、繰越需要の解放に役だったことが示されている。国際観光は 2021 年下半期に緩やかに回復し、第 3 四半期と第 4 四半期の国際観光客到着数はパンデミック前の水準と比較して 62%の減少にとどまった。 限られた月別データによると、12 月の国際観光客到着数は 2019 年の水準を 65%下回った。オミクロン株と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染者数の急増による影響の全容はまだ見えていない。

回復は遅く、ばらつきがある
移動の制限、ワクチン接種率、旅行者の信頼度などが異なるため、世界の各地域で回復のペースは依然として遅く、ばらつきがある。ヨーロッパと米州では、2021 年に 2020 年比で最良の結果を記録したが(それぞれ 19%増及び 17%増)、それでもパ ンデミック前の水準よりも 63%下回った。

準地域では、カリブ海が最も好調で(2019 年を 37%下回ったものの、2020 年を 63%上回った)、一部の国・地域はパンデミック前の水準に近づくか、あるいはそれ を上回った。南・地中海ヨーロッパ(+57%)と中央アメリカ(+54%)も大幅な回 復を見せたが、それぞれ 2019 年比で 54%及び 56%の減少にとどまっている。北ア メリカ(+17%)と中央・東ヨーロッパ(+18%)も 2020 年の水準を上回った。

一方、アフリカでは 2021 年の到着数が 2020 年比で 12%増加したが、それでも 2019 年を 74%下回っている。中東での到着数は 2020 年比で 24%減少し、2019 年比で 79%減少した。アジア・太平洋では、多くの国・地域で不要の旅行が禁止されて いるため、到着数は依然として 2020 年の水準を 65%下回り、パンデミック前と比較すると 94%減となっている。

観光支出の増加
2021 年における観光の経済的貢献(観光が世界の GDP に占める直接的な貢献)は 2020 年の 1.6 兆米ドルを上回る 1.9 兆米ドルと推定されているが、依然としてパンデミック前の 3. 5 兆米ドルをはるかに下回っている。国際観光による輸出収入は 2021 年に 7000 億米ドルを超える可能性があり、一旅行当たりの支出が増加したことにより 2020 年より若干改善したが、2019 年に記録された 1.7 兆米ドルの半分にも満たない。

2021 年の到着者一人当たりの平均観光収入は、2020 年の 1300 米ドルから増加し 1500 米ドルに達すると推定されている。これは、多くの繰延需要の増加と滞在期間の長期化、交通機関や宿泊施設の価格の上昇に起因するものである。フランスとベルギーでは観光支出の減少が比較的小さく、それぞれ 2019 年比で-37%と-28%と報告 されている。サウジアラビア(-27%)とカタール(-2%) も 2021 年には比較的良好 な結果を出した。

2022 年の見通し
最新の UNWTO 専門家委員会によると、ほとんどの観光専門家(61%)は、2022 年の見通しは良くなる予測している。58%の専門家が 2022 年、主に第 3 四半期での回復 を見込んでいるのに対して、42%は 2023 年以降の回復の可能性を指摘している。現在、多数の専門家(64%) は、国際観光客到着数が 2019 年の水準に戻るのは 2024 年以降になると予測しており、これは 9 月の調査結果(45%)よりも増加した。

あなたの国・地域の国際観光がパンデミック前の 2019 年の水準に戻るのは いつにな ると思いますか?

UNWTO は、UNWTO 観光専門家委員会に対して、COVID-19 が観光に与える影響と 回復が見込まれる時期についての世界的調査を行った。(2022 年 1 月 UNWTO デー タ収集 2022年1月18日発表)

UNWTO 信頼度指数は、2022 年 1 月から 4 月にかけて、若干の低下を示している。 ワクチン接種の迅速かつ広範な普及、それに続く渡航制限の大幅な解除、渡航規範に関する連携と明確な情報提供が、国際観光の効果的な回復への主な要因となると専門家は指摘している。UNWTO のシナリオでは、国際観光客到着数は 2021 年比で 30%〜78%増加する可能性があるとしているが、これはまだパンデミック前より 50%〜 63%下回った水準である。

最近の COVID-19 感染者数の増加とオミクロン株により、一部の国々で特定の市場に対する渡航の禁止や制限が再び導入されたため、2022 年の年初の回復を妨げ、信頼感に影響を及ぼすと考えられている。同時に、ワクチン接種の普及には依然としてばらつきがあり、主にアジア・太平洋を中心に、多くの国・地域で依然として国境が完全に閉鎖されたままとなっている。原油価格の高騰、物価上昇、潜在的な金利の上昇、 多額の負債、サプライチェーンの継続的な混乱などによる厳しい経済環境が国際観光の効果的な回復を更に圧迫しかねない可能性がある。しかし、ワクチン接種の普及と渡航制限を解除するための国際連携により、主にヨーロッパと米州を中心に、多くの市場で観光の回復が進んでいることは、消費者の信頼感を回復させ、2022 年の国際観光の回復を加速する助けとなり得る。

国際観光が回復する中で、国内旅行はますます多くの国・地域、特に大規模な国内市場を有する国・地域における観光セクターの回復を牽引し続けている。専門家によると、国内旅行や近場への旅行だけでなく、野外活動、自然を楽しむ観光商品、ルーラ ル・ツーリズムは、2022 年の観光を引き続き形成する主要な観光トレンドの一つで あるという。