淀川舟運に高まる期待、3月16日に大堰閘門開通 観光振興や災害時の物資輸送も
(産経新聞 2025年2月27日)
https://www.sankei.com/article/20250227-XMH3AKGI3NNU3DYKYZS4ABMDYU/
【ホッシーのつぶやき】
淀川河口から京都・伏見まで直接船で行き来することが3月16日から可能になります。淀川河口から約10キロ上流の淀川大堰に閘門ができ、潮の満ち引きにより大堰の上流と下流で最大2メートルの水位差を調整するための閘門です。江戸時代までの物流は舟運が中心だったことを知らない人も多いようです。これを機会に京都から大阪まで旅の夢を見るのも良さそうです。
【 内 容 】

最終段階を迎えている淀川大堰閘門の建設工事=2月16日、大阪市(柿平博文撮影)
琵琶湖から京都府を経て大阪湾へと注ぐ淀川水系。その淀川の河口から約10キロ上流にある淀川大堰(大阪市都島区、東淀川区)で、船の航行を可能にする「閘門(こうもん)」の開通を3月16日に控え、工事が最終段階を迎えている。開通すれば淀川の河口から京都・伏見までを直接船で行き来することが可能に。観光振興や災害時の円滑な物資輸送など舟運への期待が高まっている。
淀川大堰は、水道水の供給や潮止めを目的に建設され昭和58年に完成した。潮の満ち引きにより、大堰の上流側と下流側で最大2メートルの水位差が生じるため、現在は船が航行できない。
平成7年の阪神大震災では、寸断された陸路に代わり、海路での資材や廃棄物の運搬が有効だった。そして、江戸時代に淀川が、京都と大阪との間で人とモノを運ぶ経済の大動脈だった歴史などを踏まえ、船を活用した淀川流域の観光振興が期待されるようになり、淀川大堰への閘門の設置が決まった。
近畿地方整備局などによると、左岸側に幅20メートルの閘門を整備。上流側と下流側に設置した2カ所のゲートの間(長さ約70メートル)の水位を調節することで、高低差のある上流と下流との間の船の航行を可能にする。1度の作業で、定員100人程度の大型観光船4隻が同時に通過できるという。

閘門の建設工事は令和4年1月に始まり、すでにゲートは完成している。
開通の1カ月前となる2月16日には、プレイベントが開かれ、地元小学生と保護者ら9組23人が閘門の床面にチョークで思い思いの絵を描いた。
イベントに参加した大阪市都島区の小学5年、高山煉さん(11)は「閘門が完成したら、ぜひ船で行き来してみたい」と話していた。
万博へのアクセス向上
淀川大堰閘門の開通は、2025年大阪・関西万博の会場となる人工島・夢洲へのアクセス向上にもつながるとされる。夢洲では現在、船着場となる浮桟橋の設置工事が2カ所で進められており、実際、万博期間中に閘門を通って夢洲へ向かう航路を開設したい考えの事業者や団体も存在するという。
淀川では昨年10月13日に開催された万博半年前イベントで、京都と大阪をつなぐ「伏見航路」が62年ぶりに復活。3月16日の開幕1カ月前イベントでは、京阪天満橋駅近くの八軒家浜船着場(大阪市中央区)から大堰閘門を通過し、十三船着場(大阪市淀川区)までをつなぐ船便などの運航が予定されている。
日本国際博覧会協会によると、これまでに15の事業者・団体から神戸港、淡路島などとを結ぶ航路や、淀川を経由して大阪市中心部と夢洲を結ぶ航路の申請もあるという。(秋山紀浩)