じゃらん『とーりまかし』2013年6月号に書かれていた「ASEAN訪日インバウンド最新事情」を中心にご紹介する。
 
日本政府観光局(JNTO)が発表している2012年度訪日外客数は、1位:韓国204万人、2位:台湾147万人、3位:中国143万人、4位:米国72万人、5位:香港48万人、6位:タイ26万人となっている。
そして、経済成長率が著しいASEAN主要6ヶ国の訪日外国人の合計は78万人と、北米88万人、ヨーロッパ78万人に並ぶ位置を占めてきている。ASEAN主要6ヶ国の内訳は、タイ26万人、シンガポール14万人、マレーシア13万人、インドネシア10万人、フィリピン8万5千人、ベトナム5万5千人という。
しかし、ASEAN主要6ヶ国の人口は約5億人であり、訪日インバウンドは約0.6%にしかすぎないことになる。
 
ASEAN訪日インバウンドを考える時、直ぐにイスラム系観光客対策と考えがちだが、仏教、キリスト教系も結構多い。
 
  国名        人口     訪日人数            主な宗教
シンガポール    518万人  14万人(-21.4%)  仏教33%、イスラム教15%、キリスト教18%、道教11%
タイ          6388万人  26万人(+21.4%)  仏教92%、イスラム教5%
マレーシア     2859万人  13万人(+13.8%)  仏教20%、イスラム教61%、キリスト教9%
インドネシア 2億3764万人  10万人(+25.9%)  イスラム89%、キリスト教8%、ヒンドゥ教2%
ベトナム       8826万人  5万5千人(+31.9%) 仏教80%、キリスト教7%
フィリピン      9264万人  8万5千人(+10.0%) イスラム教5%、キリスト教87%
 
仏教92%のタイが訪日インバウンド6位になっていることも裏付けられそうな数字だ。
ASEAN諸国中最大の人口で、世界第4位の人口を要するインドネシアは、国民の89%がイスラム教であること、ASEAN諸国全体をみるとイスラム教人口が多いことから、ハラール料理やイスラム教のお祈りの場を提供することは無視できない問題になる。
 
世界観光機関が発表している2012年の世界の海外旅行者数は、前年比3.8%増の10億3500万人となり、初めて10億人を超えている。そのなかでも特に、東南アジアが同8.7%増と好調で、中国やASEAN各国から、近隣国へ観光する人が増えているといわれている。
この傾向は13年も継続し、3~4%伸びると予測されているようだ。
 
世界中で海外旅行を楽しむ人が増えている。それに比較すると、訪日外国人は伸びていない。
今、本気で訪日外国人対策を打たないと世界の中で取り残されることになる。