「AIアナリスト」のデータから見る「コロナショックの影響」第3弾 GoToキャンペーンは観光業をコロナ前に戻したか?
(株式会社WACUL 2020年8月13日)
https://www.travelvoice.jp/20200511-146116

観光業界全体は、4月の-65%を底に、6月-29%、7月-4%と、ほぼ前年水準まで回復しているようで、Go To Travelの効果があったといえる。
レジャー施設は、7月に+40%と大きく回復したが、宿泊施設は、4-5月-59%の底から、6-7月-26%と回復したが、7月も-25%と横ばいで、Go To Travelの大きな効果はなかった。
近場の観光からの回復し、少しずつ距離が長くなり、国内旅行が戻るというスピード感のようだ。

【ポイント】
Go To Travelキャンペーンによって、観光業界のWebサイト訪問数を調査した。

観光業界全体は前年同月水準まで回復
4月の前年同月比-65%を底に、6月は同-29%、Go To Travel が発表された7月は同-4%と、ほぼ前年同月比水準まで回復している。
依然として新型コロナウイルス感染者は増大した中で、前年同月比水準を回復したのは、コロナの自粛疲れに加え、Go To Travelキャンペーンの効果があったと考えてよいだろう。

もっとも強く回復したのはレジャー施設
レジャー施設の前年同月比は+40%と大きく回復。
これまで閉鎖されていた施設が、予約をネット受付して入場者数をコントロールすることで、稼働をはじめたことが大きい。予約をとるために何度もサイトを訪問している。
そのためか、7月のCVRは6月より低下していた。
ゴルフ場など、コロナの感染リスクが低そうな施設も訪問数を大きく増やし、前年同月比でプラスに転じるサイトもあった。

次に回復したのは旅行ポータルサイト
次に回復を見せたのは旅行ポータルサイトであった。
もともと情報サイト関連が多いこともあり、底であった2020年4月も前年同月比-50%と、他に比べると大きな落ち込みはなかったが、6-7月と順調に回復。
Go To Travel キャンペーンやコロナ疲れからか、2020年7月には前年同月比は+7%とプラスに転じた。

宿泊施設は前年同月水準に戻せず
宿泊施設は、底であった2020年4-5月は前年同月比-59%と、中程度の落ち込み。6-7月は大きく回復し-26%となり、以外にも、Go To Travelキャンペーンの7月もほぼ横ばいの-25%となり、前年比プラスとはいかなかった。
 

旅行代理店は苦境が続く
旅行代理店は厳しい状況が続いている。
2020年4月は前年同月比-79%、5月も同-77%。6月からは大きく回復の傾向はみられるも、7月はGo To Travel キャンペーンがあったにも関わらず同-41%にとどまった。

CV数はどうだろうか。(旅行代理店のCV数は予約であり、ほぼ件数)
当社の旅行代理店のCV指数では、4-5月は前年同月比で約-90%で横ばいであった。
主要旅行会社の5月の旅行取扱高は、JTBが-96.4%、日本旅行が-98.2%、近畿日本ツーリストを傘下に持つKNT-CTホールディングスも4月同-97.4%・5月同-98.8%、エイチ・アイ・エスも4月同-98.5%・5月同-98.2%だった。
当社指標は6月の前年同月比は-23%、7月は-20%と回復を見せたが、前年同月までは回復していない。

近場のレジャーからの回復。次に回復するのは国内旅行から?
Go To Travel キャンペーンは、回復の追い風となったものの、新型コロナウイルスによって打撃を受けた観光業が元の姿を取り戻すまでには至っていない。
一方、少しは出かけてもよいかなと考える人が多いのか、レジャー施設は前年同月水準を取り戻しつつある。これから、近場ならいいだろうと、少しずつ人の往来距離が長くなるだろうか。そうすると次に回復するのは、電車で行く国内旅行となるだろうか。今後の動向を注視したい。