『南天苑』のある「天見」は日本の原風景が色濃く残っている地域です!
( 観光のひろば (特別編) 2014年5月18日 )

『南天苑』があるのは河内長野市、大阪府の南部でお隣は和歌山県です。
皆さんも「天見駅」を降りて緑が豊かなのに驚かれたと思いますが、ここは市街化調整区域に指定されているため、昔の日本の原風景が残っている地域になっています。

ここ『南天苑』は建築家 辰野金吾が晩年手がけた数少ない和風建築です。堺市の大濱塩湯別館として1913年に建設されましたが、1934年の浸水被害を受け、1935年に南海電鉄によってこの地に移築されました。1949年に『南天苑』が開業します。しかしその頃は“辰野金吾の設計”によるものとも知らなかったのですが、2002年に調査が開始され、辰野金吾の設計と分かり、2003年に国の“登録有形文化財”に登録されました。それまで「辰野金吾」の話は寝耳に水の話でした。

『南天苑』と言っても大きな木造古民家です。客室にトイレ・洗面所もありませんでした。“登録有形文化財”に登録されたのを機に、2005年に18室の部屋を13室に減らして7室だけトイレ・洗面所を設けました。2010年には天井、壁面の改修工事を行い、文化財として残せるよう維持・修景・復元・改装に務めました。先人の作った文化・知恵・思いを守りつつ昔に戻して、しかし快適性は取り入れ、うまく整合させることに努めてまいりました。

「旅館」は日本文化の塊です。書や絵画、陶器、漆器、建具、畳、日本庭園、和服、日本料理、生花、温泉… 居ながらにして日本文化が体験できる場所です。
旬の素材、なにわ伝統野菜などこだわりの地場食材を活かした四季のお料理。それらを楽しんでもらいながら、コンサートや和婚へも取り組んで来ました。

「大阪に旅館があることが知られていない」大阪の旅館をPRしようと、「なにわの女将のレトルトカレー」の販売にも取り組みました。露天風呂のない温泉旅館は致命的と思い、離れ家個室露天風呂「清流亭」をクラウドファンディングで建てました。

インバウンドの宿泊は、2010年からブッキングドットコムに登録し、ポツポツ来館する人が増え、2012年に200人、それが2013年に韓国のブログに掲載され口コミで知られるようになり、2014年に2160人。2015年に5350人に増え、コロナ前の2018年には5883人にまで増えました。
国籍別では、2018年までは韓国が半数以上でしたが、2019年4月には北米と欧州が50%を占め、コロナ禍は宿泊客が大激減しますが、コロナが明けて2023年4月にはアメリカが一番多くなり、2024年4月は北米と欧州が62%を占めるように変わっています。今は多様な国から来られるようになり、世界90カ国からお客さまが来られています。

「南天苑へ来られる理由」は、「旅館」「温泉」を楽しむことを目的とされる方が最も多いのです。南天苑に宿泊して、里山ウォーキングやサイクリング、日本の原風景を楽しんでおられます。
また本格的なお茶、生け花、書、居合体験も楽しめます。さらに本物の甲冑が5領あり、甲冑の着用体験も計画中です。

外国人にはビーガンのお客様も多数おられます。お客様の食の好みをお聞きして、ビーガンやベジタリアンのお客様にも対応しています。2019年8月に来られたアメリカのビーガンのお客様がブログで南天苑の素晴らしさを伝えられたのが、アメリカ、欧州のお客様が増えた理由の一つかもしれません。南天苑の庭園を散策され、温泉でまったりと使っている写真、そして“布団を敷きにくる“スタイルに驚かれ、旅館のおもてなしを絶賛されています。

私たち一行も、天見駅に降りて、新緑の美しさ、鶯の鳴き声を聞き、天見の自然、日本の原風景に触れて圧倒されました!