スペイン・マドリードが富裕層誘致に参戦、高級ホテルが続々誕生、収益性の高い観光ビジネスを模索
(トラベルボイス 2023年7月25日)
https://www.travelvoice.jp/20230725-153914

【ホッシーのつぶやき】
スペインのマドリードが様変わりしている。安物ホテルや安っぽい土産物店が減り、狭い道路は広い舗装路や歩行者専用ゾーンが整備されたという。ラグジュアリーホテルも続々と誕生し、エリア全体が安全で高級感が漂っているという。
日本も都市部にはラグジュアリーホテルが誕生している。これからは魅力ある観光資源を持つ地方都市で、地域が一体となって高級路線を推進する必要があるだろう。

【 内 容 】

パンデミックを経て、スペイン・マドリードの街は様変わりした。安物のホステル、安っぽい土産物店、車が行き交う道路で知られるエリアは、今ではより広い舗装路や歩行者専用ゾーンが整備されている。マドリード市は、以前よりも安全できれいになったと胸を張る。ロイター通信がその様子をレポートしている。

中心部には、ラグジュアリーホテルも続々と誕生。プエルタ デル ソル中心部近くには、フォーシーズンズ・ホテルズが、旧銀行支店を含む7つの建物を改装し、ホテルをオープンした。この複合施設にはディオールやエルメスなどの高級ブランドも入る。

マリオット・インターナショナルは、パンデミック中の改修工事を終えて、「サントマウロ・パレス」を再オープンし、6月には「ウェスティン・パレス」の改修を開始。、新たに400室を追加する。近くにあるリッツは、「マンダリン・オリエンタル・リッツ」ブランドにアップグレード。ユニバーサル・ミュージックは、初の5つ星ホテルを立ち上げる。

マドリードは、オーバーツーリズムを避けつつ、富裕層の取り組みに注力している。コントロールできないほどの観光客に対処するために中心部のホテル建設を制限しているバルセロナとは対照的だ。

商業用不動産サービス会社JLLのリポートによると、マドリードでは2023年末までに高級ホテルの客室数が2700室を超え、10年前と比較して50%増加する見込みだという。コンサルティング会社コリアーズによると、マドリードでは33軒の新規ホテルの開業が計画されており、その半数が高級ホテル。一方、バルセロナは13軒の計画にとどまっている。マドリードでのホテル投資額は2022年に過去最高の8億200万ユーロ(約1260億円)に達した。これはバルセロナの3倍にあたる。

一方、高級ホテルが数々誕生していることで、マドリードの宿泊価格も上昇している。「サントマウロ・パレス」の料金は、パンデミック前は1泊400ユーロ(約6万3000円)だったが、現在は1200ユーロ(約18万8000円)まで跳ね上がっている。それでも稼働率は安定しているという。

ホテルだけでなく、高級レストランもマドリードに進出。高級レストランで知られるロブションは、昨年3階建てのレストランをオープンした。

この高級路線は、観光客の消費額にも現れている。4月にマドリードを訪れた外国人観光客は1日あたり336ユーロ(約5万3000円)を費やしたが、これは全国平均の2倍だ。特に米国の富裕層旅行者がマドリードを旅程に組み込むようになった。統計によると、4月のスペインへの米国人旅行者は、2019年同月比で25%も増加した。

マドリードの観光関連の雇用環境も改善。2019年以降15%増加した。これは全国平均の5.4%を大きく上回る。

スペインの観光労働組合CCOOのホセ・マリア・マルティネス氏は「スペインの観光業界は、低価格でライバル国と争うとしてきた。しかし、より収益性の高いビジネススタイルに賭けた方がいいと考える企業も出てきた」と話す。

※ユーロ円換算は1ユーロ157円でトラベルボイス編集部が算出