“春日若宮おん祭”の“お渡り式” 5年ぶりに通常開催 奈良
(NHKニュース 2023年12月18日)

https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20231218/2000080510.html#:~:text=下記の注意点を,内を練り歩きました%E3%80%82

【ホッシーのつぶやき】
12月17日、奈良市の最大級のお祭り『春日若宮おん祭』に参加してきました。
皆さんは、奈良市の春日大社の『春日若宮おん祭』をご存知でしたでしょうか?
平安時代 1135 年より開始された災い退散を願うお祭で、888年間、続いている日本最大の芸能の祭りでもあります。
「春日若宮おん祭り」は、他に類を見ないホンモノでとても素晴らしい祭です。毎年12月17日に開催されますので一度は参加されてはいかがでしょうか?

【 内 容 】
12月17日0時に若宮神社の神様を本殿から「お旅所」に遷幸(移動)してもらって、24時に若宮神社に還幸(お帰り)になられます。
祭りは「神様に祝詞を奏上して、お願い事を申し上げる」ためのもので、そのお礼として「素晴らしい音楽・芸能を楽しんでいただく」+「神様の旅」と言う意味合いもあります。

祭りのイベントとしては、12時から13時に開催される「お渡り」と16時から23時に開催される「お旅所祭」がメインのイベントです。

「お渡り」
「お渡り」は、京都の時代祭のような古代の行列を見物するものです。時代祭のような艶やかさはありませんが、神子、稚児、武士、大名行列、芸能集団などからなる行列で歴史を感じさせる行列で、参加人数が約千人、馬も47頭が出るという大規模なものです。

【お渡りの順】
第一番 日使(ひのつかい) (天皇の代理の方が毎年来られます)
第二番 神子(みこ)
第三番 細男・相撲(せいのお・すもう)
第四番 猿楽(さるがく)
第五番 田楽(でんがく)
第六番 馬長児(ばちょうのちご)
第七番 競馬(けいば)
第八番 流鏑馬(やぶさめ)
第九番 将馬(いさせうま)
第十番 野太刀(のだち)他
第十一番 大和士(やまとざむらい)
第十二番 大名行列(だいみょうぎょうれつ)

「お旅所祭」(神遊び)
行列がお旅所に到着すると、神様にお供え(神饌)が捧げられ、行列に参加した集団の代表、稚児や願主投、大和武士等が拝礼が行われます。

その後、神楽の奉納から芸能が始まります。その芸能が圧巻です。
まだ芸能といえるもののない時代の祈りを捧げる所作を見ることができます。
舞台は土を50cmほど盛った土(これが芝を張った「芝居」の語源)で出来、約5m四方の上で、東遊・田楽・細男・猿楽・舞楽・和舞といった多種多様な芸能が16時頃から23時頃まで7時間近く延々と続きます。
この芸能は古い時代のものから順に演じられ、神への祈りを頭を下げて演者が四角の舞台をほぼ無言(静かに唸る)を歩く細男(せいのお)、小堤だけで単調なメロディーを演じるだけものから、ハレのある舞楽と多彩ですが、照明設備の整った舞台とは違って焚き木の明かり(今は照明も補完的に使われる)だけの世界で繰り広げられ、幽玄の世界に没入させられます。

【演目の順】
神楽(かぐら)
東遊(あずまあそび)
田楽(でんがく)
細男(せいのお)
神楽式(かぐらしき)
和舞(やまとまい)
舞楽(ぶがく)
 振鉾三節(えんぶさんえつ)
 萬歳楽(まんざいらく)
 延喜楽(えんぎらく)
 賀殿(かてん)
 長保楽(ちょうぼうらく)
 和舞(やまとまい)
 蘭陵王(らんりょうおう)
 納曽利(なそり)
 散手(さんじゅ)
 貴徳(きとく)
 抜頭(ばとう)
 落蹲(らくそん)

【還幸の儀】
この御祭は0時に遷幸の儀から始まり、24時の還幸の儀で終了します。
還幸の儀は、お旅所から神様が春日大社の若宮神社にお帰りになる儀式で、かがり火も消され暗闇の中で行われます。(参列者は写真も懐中電灯も禁止)
若宮様は榊の枝で十重二十重に囲まれて、随行する者が口々に間断なく「ヲー、ヲー」という警蹕(みさき)声を発し、楽人たちが道楽(みちがく)の還城楽(けんじょうらく)を奏でお供をします。

私は、還幸の儀の最初だけ同席させていただきました。
かがり火が消されて真っ暗になった瞬間、夜空がとても鮮明に見えたことが思い出されます。そして神職の人などに囲まれて若宮さまがお旅所から出てお帰りになる、真っ黒にしか見えない集団が「ヲー、ヲー」という声を発しながらお旅所を出て行かれるのを、敬虔な気持ちでお見送りさせていただきました。
妻はこの瞬間が一番記憶に残ったと言います。

しかし毎年12月17日は寒いです。
今年も最高気温7度、最低気温2度。寒い中、長時間の参列なので体調を崩された方もいました。防寒対策は十分取れば、とても素晴らしい体験ができると確信しました。

インバウンド観光も多彩なものが求められていますが、何回も訪日されるリピーターの方の中からホンモノを求める人が増えています。
この奈良の「春日若宮おん祭り」は、他に類を見ないホンモノであり、そのホンモノを伝えていく役割があると感じました。

毎年開催されますので、皆さんもどこかで体験していただきたいと思います。


遷幸の儀を前に、若宮へ向かう神職の方々。
参道は全ての明かりを消し、暗闇の中行われます。
(一般の方の写真撮影は禁止。ホームページの写真です)