外国人「お遍路さん」が急増、日本人は大幅減、地域の受け入れ態勢の課題など浮き彫りに ―四国経済連合会
(トラベルボイス 2019年7月14日)
https://www.travelvoice.jp/20190714-133039

お遍路さんは十数年前と比較して4割減とといい、団体バス遍路は約95%減、マイカー遍路は73%減、「歩き遍路」では約3割の減少だ。理由は、日本人の宗教離れやレジャー多様化だという。
外国人の「歩き遍路」が、2007年44人から2017年は400人に拡大。0.5%に過ぎないが、「世界的な歩き巡礼ブーム」が背景にあり、増加する可能性がある。

【ポイント】
四国経済連合会が「お遍路さん」の受け入れ態勢に関する現状と課題をとりまとめた。
日本人の「お遍路さん」が減少する一方で、外国人の「歩き遍路」が急増している状。
宿泊施設の拡充など受け入れ側の課題が浮き彫りになった。

四国遍路とは、四国一円に点在する空海ゆかりの「88か所札所」を巡礼するもの。
歩き遍路の総延長は1200km程度あり、全行程を一気にめぐると40~50日程度を要する。

お遍路さんの人数は十数年前と比較して約4割減と大幅に減少。
霊場へのアンケートでは、「歩き遍路」では約3割程度の減少、団体バス遍路は約95%減、マイカー遍路は73%減と大幅縮小。
理由は、日本人の宗教離れやレジャー多様化、国内外観光地との競争激化などにある。

近年は外国人の「歩き遍路」が急増しており、10年前(2007年44人)と比較して2017年は約10倍の400人に拡大。
外国人の歩き遍路は0.5%に過ぎないものの、「世界的な歩き巡礼ブーム」が背景にあり、今後外国人の歩き遍路が大幅に増加する可能性がある。

宿泊施設は、10年前と比較してビジネスホテルが増加(84軒増)している一方で、旅館は大幅減(113軒減)となっており、総数はほとんど変わっていない。
施設側の高齢化、後継者難、人手不足の深刻化もみられるほか、「お接待」をおこなう地域住民の減少も見られるという。

「言葉がわからない」「作法を知らない」「土地勘がない」「習慣がわからない」まま歩き遍路を始める外国人が「困っている」状況に言及。
宿の基本情報や外国語での予約ルート、食事メニューの選択、キャッシュレス決済対応の不備なども「困りごと」として挙げられている。

同レポートでは、外国人遍路の拡大に期待すると同時に、受け入れ側の態勢整備が必要であることを示唆。スマホの翻訳アプリや地図アプリの精度向上などを図るほか、過疎地での民泊や空き家を利用した宿泊施設の充実、「お遍路さんコンシェルジュ」機能の強化などが求められるとしている。