これからの『インバウンド観光』 奥深い日本の魅力を伝えたい  講演概要④
(観光のひろば 2023年6月22日) 

【講演概要】
奥深い日本の魅力を、世界の国に伝えたい!

 エール学園の長谷川総長がベトナムの大学で講演され、日本の長寿企業の話に大きな反応があり、ベトナムの大学から大学教授2名と学生9名が訪日されました。

 初日、四天王寺と金剛組を訪問しました。日本最古の官寺は『四天王寺』です。そして寺院を建てる宮大工がいなかったので、聖徳太子は朝鮮の百済から宮大工を578年に招聘し、四天王寺が建てられたのです。その時の宮大工が世界最古の企業『金剛組』です。その四天王寺も7回の火災にあい金剛組が建て替えています。金剛組の当主は41代目です。技術が優秀で統率力がなければ当主は務まらないといい、直系に拘らずとも当主になっておられます。

 2日目、近江商人の歴史を継ぐ滋賀県豊郷町の「伊藤忠兵衛記念館」を訪問しました。伊藤忠商事は、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の“三方よし”を経営理念とされています。近江商人は、ふとんの西川産業(1566年)、髙島屋(1831年)、伊藤忠商事(1858年)など多くの長寿企業が生まれています。初代の伊藤忠兵衛さんが残した言葉、「商売は菩薩の業、商売道の尊さは、売り買い何れも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの」で、「三方よし」に通じるものでした。

 3日目は、京セラ創業者である「稲盛ライブラリー」を訪問しました。ここは月2千人の見学客が押し寄せ、半数以上は外国人だといいます。稲盛は「高い目標を持って一生懸命に頑張れば必ず実現する」とよく語っていました。そして「必ず君たちのことを守る」、それは「君たちの雇用を守る」こと」「雇用を守ればお金を払うことができる」だから「君たちを守れるのだ」と言っていたと言います。極め付けは、稲盛さんが残した言葉の中から好きな言葉を選んで発表するという取り組みでした。多くの言葉が書かれていましたが、最も多く選ばれたのは「仕事が好きになる」でした。

 アトラクションも本物を知ってもらう取り組みを増やさなければなりません。建仁寺の法堂の天井には2002年に書かれた「双龍図」があります。古い絵画も貴重な国宝ですが、新しい絵画を残すことも大切です。『退蔵院方丈襖絵プロジェクト』というは、文化財の保存と若手芸術家の育成を目的に、無名の若手絵師が退蔵院方丈の襖絵を描きあげるプロジェクトです。絵師は村林由貴さん。25歳から取り組みを始め11年で完成させたと言います。このような襖絵を外国人の方にも見て頂き、村林さんの解説で見てもらいたいと思っています。

奥深い日本の魅力を、世界の国に伝えたい

 このように「長寿企業」や「日本の伝統文化」を中心に、「奥深い日本の魅力を世界の国に伝えたい」と思っています。もちろん文化、芸術を組み込んだツアーにして、専門ガイドを養成しなければならないと思います。今回の長寿ツアーも録画させていただきました。それを翻訳して、テロップを付けて、他国にも配信してまいります。ご期待いただければと思います。