円の実力が53年ぶり低水準、影響・背景は?
(日本経済新聞 2023年8月30日)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODL29B010Z20C23A8000000/

【ホッシーのつぶやき】
8月30日の日本経済新聞朝刊1面に「円の実力、53年ぶり低水準」の記事が出た。
日銀によると、最新の7月レートは74.31と、1ドル=360円の固定相場制の時代と同水準で53年ぶりという。このままの状態では輸入価格が上昇し、エネルギー価格と食品価格の上昇を招いてしまう。
政治の役割は、日本の正しい実力を知り改善する施策を打つことだ。日和見的な施策はいい加減にやめてほしい。

【 内 容 】
2023年8月30日の日本経済新聞朝刊1面に「円の実力、53年ぶり低水準」という記事がありました。ドルやユーロなど様々な通貨に対する円の総合的な購買力を示す指標は53年ぶりの低水準に沈んでいます。背景には何があり、私たちの生活にはどう影響するのでしょうか。

ここが気になる
円相場は対ドルで8月29日に一時1ドル=147円台と9カ月半ぶりの円安・ドル高水準をつけました。この147円台とは「名目為替レート」といい、異なる2国間の通貨の交換比率を表します。通貨の実力を知るには、さまざまな国の通貨の価値を貿易量や物価状況も加えて算出した「実質実効為替レート」をみる必要があります。

実質実効為替レートは通貨の総合的な購買力を示す指標です。日銀によると最新の7月のレートは74.31と1ドル=360円の固定相場制だった時代と同水準で、53年ぶりの低水準です。物価が伸び悩んでいるのに加え、日銀の金融緩和による円安の進行が影響しています。円の実質実効レートが最も高かったのは1995年4月で、当時と比べると円の購買力は6割下がりました。

円の購買力が低下すると海外からモノを輸入する際のコスト増を招き、輸入価格が上昇します。足元ではガソリン高などのエネルギー価格に加えて、食品や飲料価格の上昇が目立っています。円相場がこの先1ドル=145円前後で推移した場合、1世帯あたりの負担増は2年間で計18.8万円となる試算もあり、物価・賃金上昇の好循環を軌道に乗せて円の実力を取り戻す必要があります。