(2016年3月2日)44名参加

中国人観光は、黄金ルートの観光と爆買いから、個人旅行に変化し、テーマ性のあるもの、体験、高付加価値のあるものへと変化しています。そのなかに医療・健診、ヘルスケア、美容におけるニーズも高まっています。

日本政策投資銀行のレポートには、2020年における日本の医療ツーリズムの潜在的市場規模は5507億円、経済波及効果を2823億円と試算され、来日する医療ツーリスト数は42万5000人とし、うち中国人は31万2000人といいます。

中国人の中間層・富裕層にとって、海外での医療のほうが、費用対効果も高いので需要は大きいのですが、日本の医療機関は“地域医療優先”や“医療通訳者の問題”“マンパワー不足”から積極的に受け入れる体制とはなっておりません。コミュニケーションの問題も大きく、トラブルや訴訟への対応、食事や宗教への配慮の心配もあります。
中国人患者のマナー不足による問題や、受診料の不払いや値切り交渉、直前の変更やキャンセルなど習慣の違いも大きな問題です。また日本で治療したから必ず治るなど“過剰な期待”による問題もあります。
医療ツーリズムへのリスクコントロールとしては、受け入れフロー確立、医療機関・コーディネート機関・旅行会社が一体となりノウハウ共有、医療通訳者の養成、前払い・キャンセル料の徹底などがあげられますが、これから取り組まなければならない問題がほとんどです。
中国の経済成長や生活水準の向上から、不健康な生活様式に起因する糖尿病が急増しています。糖尿病を日本で治療したいというニーズも高まっています。また、日本の美容へのニーズも高いです。
“医療・健診”だけでなく、“健康・美容”、“日本文化や生活に触れる体験”、“グリーンツーリズム”なども組み込んだ総合的なヘルスケアツーリズムを、ニーズに応じてフレキシブルに提供できる仕組みを構築してまいりたいと締めくくられました。

2016年の春節(旧正月)期間中に国外に旅行に出かけた中国人の数は600万人に達し、その2割が“健康・医療”を目的に出かけたと中国メディアが伝えています。
医療ツーリズムは、「日本再興戦略2015」にも“医療の国際展開の促進、医療・介護・ヘルスケア産業の活性化”が盛り込まれるなど注目される産業の一つです。これからの発展が期待されます。