これからの『インバウンド観光』 奥深い日本の魅力を伝えたい  講演概要②
(観光のひろば 2023年6月22日) 

【講演概要】
コロナ前とコロナ後の“インバウンド市場”の変化!

 コロナ前は、団体・格安ツアーが人気していました。宿泊は、民泊・ゲストハウスなどの格安なホテルでしたが、今は高級ホテルに宿泊する人が増えてきました。インバウンドが押しかける前、日本は物価が高いと思われていたのですが、訪日してみると「日本は安い」、「牛丼が300円だ」と驚かれました。コロナ後、自然、文化観光も増えています。熊野古道を歩く観光客の半数以上は欧米豪の外国人です。コロナ前、大型免税店で爆買いされていました。日本ではクレジットが使えないことが問題でした。今はキャッシュレス決済できる店舗が増えました。コロナ前は短期滞在が圧倒的でしたが、コロナ後は長期滞在が増えています。オンラインで仕事をしながら旅行するデジタルノマドという人が増えています。私も1年半前、高野山の宿坊でフランス人の女性とご一緒しましたが、この宿坊に2週間泊まって、仕事をしながら高野山を楽しむとお聞きしました。コロナ前、旅行情報は紙のガイドブックでしたが、今はスマホによる情報収集がほとんどです。

富裕層のはなし

 世界には金融資産を5000万ドル(67億円)以上持つ「超富裕層」は21万人といわれ、2019年の訪日外国人1300万人のカード決済で、3000万円以上の消費する外国人は6千人で平均消費単価630万円。100万円以上、300万円未満を消費する人は4万3千人、平均消費単価150万円です。
 驚くのはこれら高額消費をしている人の7割以上が中国人だということです。中国人は格安ツアーで来られて、あまり消費しないと言われていますが、お金持ちの中国人も大勢来られているのです。今は中国から訪日することは難しいですが、だからこそ中国にプロモーションをかけなければならないと思っています。

 富裕者層は、①地方に魅力のあるコンテンツがあっても富裕層向け宿泊施設がない ②コンテンツを理解して外国人に解説できるガイドがいない ③プライベートジェットを利用する富裕層もおられ優先的な入国手続きを求める ④優先予約、貸切などのプライベートサービスを求めます。
 富裕層向け宿泊施設が続々登場しています。世界遺産・仁和寺にある古民家も1泊100万円で1棟貸し。愛媛県の大洲城。城主体験が付いて、天守閣に宿泊して、2人利用で1泊110万円。瀬戸内海に浮かぶ19室の宿『ガンツウ』、移動のための船ではなく、特別な体験をするため宿といい、1泊2名で50万円から100万円。都市部には5つ星ホテルが増えてきました。

 昨年のねぷた祭りにプレミアム観覧席が誕生しました。1日1組、最大8名の席が100万円です。青森の日本酒と料理がついて、ねぷた師の解説も付いています。祇園祭の一般観覧席は4100円、ガイドイヤホンが付いたまなび席は9000円です。このようなプレミアム観覧席が今後、増えてくるのかもしれません。