・何故、インバウンド観光なのか?

 私がインバウンド観光の重要性に触れたのは、約20年前の黒門市場でした。シャッター通り商店街になりかけていた黒門市場、昔のように人通りを賑やかにしたいと、外国人フレンドリーな取り組みが始まり、外国人が殺到する商店街に変わりました。次はスルッとKANSAIが2001年に販売が開始した外国人向け乗り放題チケット『KANSAI THRU PASS』です。「3dayチケット」にガイドブックをつけて外国人向けに販売し、韓国や台湾、香港の販売数が伸びたのです。何故、外国人に売れるのか? それは目的地へ行く切符の買い方が分からないからです。そして利用されるのは個人旅行のお客様でした。
 このNEWSはショックでした。2022年の貿易収支20兆円と過去最大の赤字になったというのです。エネルギー資源の高騰と円安で輸入額118兆円に拡大し、輸出額も過去最大の98兆円ありましたが、貿易収支は20兆円の赤字となったのです。日本がどんどん貧乏になっていくという危機感を持ちました。

 少子高齢化で、14歳以下の人口が減少し、65歳以上の高齢者が大幅に増加し、生産年齢人口も急減します。 問題は生産年齢人口です。1995年から2022年に1300万人減少し、2022年から2060年までにさらに3000万人減少します。2060年にはシニア1人を若い世代1.3人が支える構造になります。これでは日本は持ち堪えられない… この危機感がインバウンド観光に取り組む必要があるという最大の思いです。
バブル期以降、団体旅行は半減し、2018年に個人旅行と団体旅行が逆転しました。2019年の日本人国内旅行消費額は22兆円、シェアは79%です。そして訪日外国人旅行消費額は4.8兆円で、シェアは17%です。日本は人口減少とともに、日本人の旅行はさらに減少します。

 2019年の輸出産業は1位が自動車産業で12兆円、2位が化学製品で8.7兆円、3位に訪日外国人の旅行消費額の4.8兆円が入ってきます。2019年の輸出品は自動車12兆円で、輸入品は、原油8.9兆円、LNG4.7兆円。自動車の輸出で稼いだお金で、原油やLNGを買っていることになります。ここに、インバウンド観光が急増してきたのです。

 世界の国際観光客数は、2019年14.7億人でした。2022年は9億2千万人で63%まで回復しています。2023年に80%〜95%まで回復するとUNWTO(国連世界観光機関)は予想しています。昨年10月の水際対策の緩和から訪日外国人が急増しています。JTBは2023年に2110万人(66%)まで回復するとしています。