インバウンド需要の急回復で免税売り上げ過去最高 都心と地方で広がる「百貨店格差」
(産経新聞 2024年3月9日)
https://www.sankei.com/article/20240309-GJCTKZE6UFI25JUSGIVJIDQAJA/

【ホッシーのつぶやき】
円安効果で、昨年1年間の全国百貨店売上高は5兆4211億円、前年比9.2%増。さらに訪日外国人客需要が回復し、免税売上高は前年の約3倍の3484億円で過去最高という。訪日外国人消費で潤うのは結構なことだ。
かたや、生ガキ5個4千円、ウニは2千円超など、日本人にはぼったくりとも見られるようになった。仕入れ値が上がり、円安で輸入額も上がっており適正価格というが、適正価格でなければ日本の信用は失墜することも理解して欲しいものだ。
https://www.sankei.com/article/20240310-ZMVCLHXGWZMTHHG5X2ZKAOIXYM/

【 内 容 】

阪神タイガースの日本一を記念したセールで混雑する阪神百貨店=令和5年11月、大阪市北区

新型コロナウイルス禍で打撃を受けた百貨店に客足が戻り、好調な業績が続く。日本百貨店協会によると昨年1年間の全国百貨店売上高は5兆4211億円で、前年比9・2%増と3年連続で増加。さらに円安効果でインバウンド(訪日外国人客)需要が回復し、免税売上高は前年の約3倍の3484億円で過去最高となった。ただ、地方では百貨店の閉店が続出するなど都市部とは明暗が分かれている。

高額ブランドのバッグや宝飾品などの売り上げが好調で消費を牽引(けんいん)。免税売上高はコロナ禍前の令和元年に比べて23億円増加した。また、大阪地区の百貨店売上高は17・4%増の8764億円と大幅に伸びた。

アジア圏を中心とした外国人観光客が多く訪れる大阪の百貨店では、インバウンドによる売り上げが過去最高ペースで推移。阪急阪神百貨店では韓国、台湾、香港からの利用客による昨年4~12月期の売上高がコロナ禍前の約4倍となったほか、プロ野球・阪神タイガース優勝によるセールも追い風となった。

同社を傘下に置くエイチ・ツー・オーリテイリングの担当者は「インバウンドも国内需要もある程度順調にきており、想定を上回る好業績となった」とする。

増加傾向にあるインバウンドを取り込もうと、各百貨店は集客に注力する。大丸梅田店(大阪市北区)では2月、「クレヨンしんちゃん」などアニメなどのキャラクターグッズを販売する店舗を新たにオープン。免税売上高の主力となる中国人客を中心に外国人をターゲットとした店づくりを展開している。あべのハルカス近鉄本店(同阿倍野区)でも同月、海外人気の高いアニメなどのサブカルチャーを発信するショップがリニューアルオープンし、国内外の利用者から人気を集めている。

大阪市内の主要百貨店は今年に入っても好調な業績が続いており、各店が1日発表した2月の売上高(速報値)は、バレンタイン商戦の展開や春節の影響で全6店が前年同月比で増収となった。

円安を追い風に勢いに乗る百貨店業界だが、9兆円を上回る売上高だったピークの平成3年に比べると半減しているのが実情だ。地方では相次いで百貨店が閉店に追い込まれており、1月には島根県で唯一の百貨店「一畑百貨店」(松江市)が閉店。昨年は北海道帯広市の「藤丸」が100年以上の歴史の幕を閉じた。

流通事情に詳しいニッセイ基礎研究所の久我尚子上席研究員は「中国人観光客が回復途上にあることから、今年の免税売り上げは引き続き過去最高を更新する可能性が高い」とする一方、「小売業の中で百貨店は縮小傾向にあり、インバウンドの恩恵を受ける都心部と地方で温度差が生じているのも事実だ」と話している。(清水更沙)